3代目スズキ MRワゴンは軽ハイトワゴンのレベルを一段引き上げる存在だった【10年ひと昔の新車】
“新たな時代のスズキ軽自動車”の第一弾モデル
2011年1月、スズキ MRワゴンが3代目となって登場した。新開発のプラットフォームに、16年ぶりに全面的に刷新された軽自動車用エンジンを搭載した意欲作で、モノフォルムの「スタイリッシュな軽ハイトワゴン」として、若いユーザーをターゲットにさまざまなコンセプトが盛り込まれていた。今回はその後の軽自動車のあり方に大きな影響を与えた3代目MRワゴンの試乗テストの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2011年4月号より) 【写真はこちら】ホイールベースは従来より+65mm拡大。全長は軽自動車規格いっぱいで変わらないので、タイヤが四隅ぎりぎりに配される。(全6枚)
ワゴンR、パレットと並び、スズキの軽ハイトワゴン3本柱の一角を担うMRワゴンがフルモデルチェンジを行い、3代目へと進化した。 今回のFMCのトピックは、大きくふたつ。ひとつはシリンダーブロックやシリンダーヘッドなど基本構造から新たに設計したR06A型エンジンを搭載したこと、もうひとつは新たなプラットフォームを採用したこと。スズキの軽モデルは今後、MRワゴンに採用されたこのコンポーネンツをベースにしていく。つまりMRワゴンは“新たな時代のスズキ軽自動車”の第一弾モデル、ということになる。 先代モデルでは「ママワゴン」の愛称からもわかるとおり女性ドライバーを意識したエクステリアとなっていたが、新型は見てのとおり非常にプレーンな外装になっているのが特徴だ。それでいて愛らしく、どこか脱力系の姿は、ターゲットユーザーとなる20代男女の“整いすぎないバランス感覚”をキーワードにデザインされたという。美人か、そうでないかはともかくとして、たしかに親しみやすい顔つきではある。 室内はとにかく広い。新プラットフォームの採用によりホイールベースは従来比+65mmの2425mmを確保。これにより、室内長はスズキ軽で最大の2120mm。後席は前後160mmのスライドと6段階のリクライニングが可能だ。 手に触れる部分のインテリア質感もよく考えられている。決して華美ではないのだが、プラスチックの素材感を上手く生かし、好印象だ。またMRワゴンのひとつのウリでもあるタッチパネルオーディオは、iPhoneやiPadライクなタッチ&スライドの操作感が楽しいもの。バックモニターが標準装備されるのも嬉しい。 テレスコピックは装備されないが、チルトステアリングと調整幅の広いシートリフターのおかげで、軽自動車としては珍しくドライビングポジションは一発でしっくりと決まる。