「事故車だから減額」「キャンセル料払え」急増する中古車売却トラブル 悪徳業者に負けず、愛車と気持ちよく別れるには
BM、ダイハツ、免許返納...中古車買い取り激化の背景
J‐CASTニュースBiz編集部は、国民生活センター相談情報部の担当者に話を聞いた。 ――ここ数年、中古車の売却を巡るトラブルが急増しているのはなぜでしょうか。 担当者 多くの要因があると思います。3、4年前は半導体不足の影響から新車販売台数が減少し、新車に買い替える消費者が減ったため、中古車の登録台数も少なくなりました。そのため、事業者が中古車の買い取りに奔走してトラブルの一因になったと言われました。 2023年以降はビッグモーターの事件がニュースになり、中古者業界全体が問題になり、被害相談が増えたと思われます。また、同時にダイハツ工業の認証試験不正が問題になり、新車の販売台数が減ったため、また、事業者が中古車の買い取り競争が激しくなりました。 ――国民生活センターでは、昨年3月にも中古車売却をめぐるトラブルの警告リポートを出しています。その中では、ドライバーが高齢化して免許返納が増えたため、70歳以上の人が車を手放す際のトラブルが増加したと指摘していましたね。 担当者 たしかに当時の警察庁の調査によると、高齢者の運転免許自主返納は2012年には11万件でしたが、2021年には49万件に増えています。2019年の母子2人が亡くなった池袋・暴走事故が影響したと思われます。 ところが、2023年には返納件数が約35万件に減ってしまい、伸び悩んでいます。一概にこれが大きな要因だと言えない状況になっています。
車の引き渡しと代金受け取りは、同時が原則だ
――昨年3月のリポートでは、「非常に強引な態度で居座られて、契約するまでは帰らない様子だった」とか「解約するなら店に来てもらい、免許証を出してもらうと、20回も電話があった」とか、荒っぽい手口がありましたが、そういう乱暴な事業者は減ったということですか。 担当者 減ったと断定できませんが、さすがに居座り続ける例は少なくなっています。今回は、現在目立つ代表的な手口3つに絞りました。 ――被害に遭わない大事なポイントは何でしょうか。 担当者 【事例3】のように、車を渡したのに、いろいろと理由を付けてお金を支払わないケースが増えています。普通、お店で物を買う時は、商品の引き渡しと代金支払いは同時ですよね。 中古車の売却も同じです。相手が「あとから支払う」と言った時、そのことが契約書のどこに明記されているか、契約をする前にちゃんと確認することが大切です。 買い取り代金の支払いがなされるまで、車および移転登録書類などの引き渡しを延期することも一法です。 ――なるほど。【事例1】のように、あとから「事故車だったから減額する」と言いがかりをつけられたら、どうしたらよいでしょうか。 担当者 買い取り業者は査定のプロとしての注意を払って買い取り金額を算出しています。その査定額で契約した後に、修復歴や事故歴を見落としたなどとして、買い取り業者から減額や解約を求められた場合でも応じる必要はまったくありません。 ただし、売却する車に修復歴や事故歴があると知っていた場合には、必ず査定時に買い取り業者に申告しましょう。それが、のちのちのトラブルを避けるうえで重要です。