イチゴの人工授粉はなぜ必要?虫頼みではダメ?【やさいの時間10・11月号こぼれ話】
『やさいの時間』10・11月号に掲載の「しづか&太陽のベジ・ガーデン お気に入りを完熟で! イチゴ」では、有機質肥料を使ったイチゴの栽培方法を紹介しています。今回の「こぼれ話」では、人工授粉についてピックアップ。人工授粉が必要な理由とポイントを詳しく掘り下げます。 みんなのイチゴ栽培の写真
受粉が不十分だと、いびつな形の実に
イチゴの花は、本来、ミツバチなどの虫が花粉を運んで受粉する虫媒花(ちゅうばいか)です。しかし、栽培している場所や気温によっては、虫が少なく、十分に受粉できていないことがあります。虫頼みでは、確実に実をつけさせるのは難しいといえます。 また、イチゴの実の大きさは、受粉したタネの数で決まるため、しっかり受粉させると大きな実になります。受粉が不十分だと、実が正常に肥大せずに、いびつな形になったり、色むらができたりします。味も落ちてしまうので、面倒でも人工授粉を行い、大きくてよい実を確実につけさせましょう。
人工授粉のポイントは?
花粉が多く出ているのは、開花の3~4日以内。晴れた日の午前中をねらって人工授粉を行いましょう。 イチゴの花は、中心の雌しべ200~400本を、雄しべ25~30本が取り囲んでいます。花の中心部分をていねいにやさしくなでて、雄しべの花粉を雌しべにまんべんなくつけましょう。毛の柔らかい筆や、耳かきの梵天などを使うのがおすすめ。指先で人工授粉をしても、花粉がきちんとつきません。筆や梵天などの先に、目に見えるほどたっぷりと花粉を付けてなでるのがポイントです。
10・11月号では、有機質肥料での土作りから子苗とりまで、イチゴの管理作業について詳しく紹介しています。 講師/藤田 智(ふじた・さとし) 恵泉女学園大学副学長、人間社会学部教授。秋田県生まれ。学生や社会人を対象とした家庭菜園指導の第一人者。「初めてでも失敗しない」栽培メソッドに定評がある。『はじめてでも大収穫! 野菜づくり超入門 秋冬&春準備編』(NHK出版)など著書多数。 ●『やさいの時間』編集部によるテキストこぼれ話。誌面で紹介しきれなかったお役立ち情報を、ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」で公開!【不定期公開】