資生堂が通期見通しを大幅下方修正、免税店販売や中国厳しく
(ブルームバーグ): 資生堂は7日に発表した2024年7-9月(第3四半期)決算で、純利益とコア営業利益の通期予想をそれぞれ期初予想から73%減となる60億円、同36%減の350億円に下方修正した。中国の景気後退で冷え込む消費が利益率の高いトラベルリテール(免税店販売)事業の利益を大幅に押し下げた。
第3四半期の純利益は前年同期比92%減の7億円で、市場予想の約134億円を大幅に下回った。コア営業利益は同7%減の81億円だった。
トラベルリテール事業は中国人旅行者の減少でリゾート地である海南島や韓国での売れ行きが3割超下がった。また、中国で売り上げ構成比の高い主要ブランド「SHISEIDO」は本土で2割弱減らした。売り上げの4分の1を稼ぐ主力市場での消費減退が業績全体に重くのしかかっている。
藤原憲太郎社長は記者会見で、福島第一原子力発電所の処理水放出を巡る不買運動について「ネガティブな影響が大きくなっていることは現在ない」としつつも、「回復のスピードが遅い」と説明した。
同社はグローバルコストの削減に優先的に取り組む方針を示し、従来24ー25年にかけて400億円超としていたコスト改善幅について、26年に250億円追加実施する計画を明らかにした。また、構造改革を加速させるとしており、11月29日に詳細を公表する。
広藤綾子最高財務責任者(CFO)は、中国事業に関して、「ブランド価値の再構築に向けて主力商品の選択と集中を加速したい」と述べた。
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Koh Yoshida