「サッカー続けたいけどチーム選びで悩んでいる子はいませんか?」中体連に参加するクラブチーム・ソルシエロFCの価値ある挑戦
ソルシエロFCのような意義を持ったクラブが増える価値
木村監督の取材を終えたあと、ソルシエロFCジュニアユースの練習を見学した。トレーニングの指導にあたる大島颯斗U-15ヘッドコーチを中心に、選手たちの活気ある声も響き渡る。印象的だったのは個々のチャレンジ精神で、1対1の局面ではドリブルを仕掛ける選手が多かった。 練習場所は葛飾区内の中学校校庭で、開始時間は19時から。睡眠時間の確保を考えたら18時開始が望ましいと筆者は思ったが、グラウンドを借りられる時間が19時からだという。正規のサッカーコートのサイズはなく、ゴールを使用できない環境でもあった。 それでも木村監督を筆頭にスタッフ陣は、サッカーできる場所がある感謝を口にする。むしろ大島ヘッドコーチは「チーム戦術を落とし込みにくい環境とはいえ、個人戦術を鍛えることはできますから、伸びしろは十二分にあります」と希望に満ちていた。 そして選手たちに聞いたリアルな声は、底抜けに明るかった。ソルシエロFCを選んだ理由やサッカーの楽しさなどさまざまな質問をすると、各選手がテンポよく順々に発言してくれる。 「ドリブルが好きだからソルシエロFCに入りました!」 「中体連の大会に参加して部活チームを見ると、ソルシエロFCは自由を与えてくれるクラブだと感じました」 「ドリブルで相手をかわした時が気持ち良いです!」 「いろんなプレーにチャレンジできるのでサッカーが楽しい」 ある選手の意見は筆者の心にジーンと染みた。 「小学生の頃は知っている友達だらけだったけど、ジュニアユースに入ったら新しい仲間もできて、みんなとの交流が楽しいです!」 思わず筆者が「良い意見だね!」と言うと、選手たちは一斉に「俺ら、一瞬で仲良くなりましたよ!」と返してくれた。 ハッとさせられた。サッカーは元来、誰もが・いつでも・どこでも心から楽しめる競技であり、ボールが人と人をつないで縁や絆を生んでくれるスポーツであると、忘れがちだった真髄に改めて気づかされた。特にグラスルーツ(草の根)では、この本質を見落としてはならないし、ソルシエロFCのような意義を持ったクラブが増えてほしいと願っている。 <了>
文=志水麗鑑