「サッカー続けたいけどチーム選びで悩んでいる子はいませんか?」中体連に参加するクラブチーム・ソルシエロFCの価値ある挑戦
「サッカーを続けたいけどチーム選びで悩んでいる子はいませんか?」
ジュニアユースを立ち上げるからには、やはり練習の成果を出す公式戦には参加したいが、クラブユースの試合を戦うには障壁が多かった。サッカーをやめる子を救えないモヤモヤした日々を過ごしていたなか、ようやく解決策として浮上したのが中体連への加盟だった。 「スポーツ庁が地域移行を推進するようになり、『クラブユース連盟に所属していないクラブチームは中体連の大会に参加できる』という話を知人から聞いて、自分でも調べました。中体連の大会は学区で開催してくれるので、時間的ロスと経済的負担が少ない。こんなにありがたいことはないなと。これしかない!と思いましたね。そこからは迷いがなくなり、『地域で育てて、地元でサッカーがうまくなる』というコンセプトを掲げ、『サッカーを続けたいけどチーム選びで悩んでいる子はいませんか?』と他のジュニアクラブにも声をかけさせていただき、第一期生のメンバーが集まり、ジュニアユースを発足しました」 集まったジュニアユース第一期生の選手は18人。もちろんソルシエロFCのジュニアクラス卒業生が多いが、「他にもいろんなチームから来てくれて、私立中学校に通っている子もいる」という。「なかには部活で続けづらかったけど、もう一度サッカーをしたいという子もいて。あとは、初めてサッカーする子も入ってくれました」と明かしてくれた時の木村監督の表情は、特にうれしそうだった。平日の練習回数も月曜日と木曜日の週2回と、勉学との両立を意識したスケジュールで活動している。 それでも先入観は付き物だから、「クラブチームって良い選手を集めて強いんでしょ」と思われる不安があったという。いざ、中体連への加盟や大会参加を進めていくと、対戦相手となるサッカー部の顧問の先生たちには、事前に危惧した反応など一切なかった。木村監督は「感謝」という言葉を何度も、何度も繰り返した。 「最初の挨拶では、『サッカーをやめてしまいそうな子たちがサッカーを続けられるようにできたクラブなので、ぜひよろしくお願いいたします』とチームコンセプトを伝えて頭を下げたら、みなさん特に問題なく受け入れていただき、手続きもスムーズに進んだので感謝しています。また、大会ではウチの選手が通っている学校の部活と対戦する機会もあり、そこでは学校での生活状況を教えてくれました。クラブチームですけど、勉強を疎かにはできないですから、お互いに練習態度と生活態度を共有できたのはありがたい。指導に生かせるので感謝しています」