「サッカー続けたいけどチーム選びで悩んでいる子はいませんか?」中体連に参加するクラブチーム・ソルシエロFCの価値ある挑戦
ずっとサッカーで青春してくれる選手を育てることが目標
ソルシエロFCジュニアユースとして臨んだ初の公式戦、東京都中学校サッカー選手権大会葛飾区予選は本田中学校に0-8、青戸中学校に0-9で敗戦。対戦相手は負ければ引退となる3年生が出揃う一方で、立ち上げたばかりのため1年生ばかりのチームにとっては苦しい試合となったが、木村監督は明るく振り返った。 「まず、葛飾区内の人工芝グラウンドで公式戦できたのが最高でしたね(笑)。いつもはクレーピッチで練習していますから、ありがたかったです。スコアは気にしていなくて、むしろ2学年上の3年生相手に対してよく頑張ったなと。個の技術を伸ばす目的でトレーニングを積んできたので、局面で臆せず1対1を挑んでくれたのが、大きな収穫ではないでしょうか。また、地元で行われる大会ですから、親御さんが気軽に応援しに来てくれたことも良かったなと」 ジュニアユースを発足させて3か月が過ぎ、明るい話題が届くようになった。保護者からは「ウチの子、楽しくサッカーしに行っています」とポジティブなメッセージを受け取れば、選手の出身となるジュニアクラブの指導者からは「教え子が自主練をしていたのを見かけましたよ」という声も聞こえてくる。「サッカーファミリーを掘り起こしたいんです」と胸を張る木村監督は、明確な意義を持ってソルシエロFCジュニアユースの未来を展望する。 「これからもトップレベルの選手を集めるつもりはありません。多様な子たちがいる最近は、サッカーを続けたいけど家庭環境の問題でできない子、クラブチームに行くほどの実力ではないけど部活に入るのもどうしようかと進路に悩んでいる子、勉強が不安だからとクラブチームに入れない子など、境遇はさまざまです。サッカーファミリーからこぼれ落ちそうな子の受け皿として、サッカーを楽しめる場所を提供していきたい」 選手育成の指針にもブレはない。 「一生、サッカーのプレーヤーとして楽しめるように、ボールをストレスなくコントロールできる選手を育てたいと思っています。衰えない技術を身につけられれば、この先も錆びつくことのないアイデアをたくさん出せるようになり、ずっとサッカーを楽しめる。だから正直、ジュニア年代は、チームとしては団子サッカーになりがちで、最初はなかなか勝てません。自分の技術とアイデアで、その状況を突破できる時期が必ず来ますので、保護者には慌てず、ゆっくりと見守っていてほしいと伝えています」 クラブとしての今後の目標もハッキリとしていた。 「選手個人の技術を育て、高校生・大学生になってもサッカーを続けてもらいたい。ずっとサッカーで青春してくれる選手を育てることが最大で第一の目標です。チームとしての勝利にとらわれると、個人の成長をおろそかにするときがある。もちろん負けるために大会に参加するわけでもなく、チームスポーツですから公式戦も必要ですが、個の技術を伸ばした先にチームとしても勝利を手にできた時が最高の景色になるだろうと思っています」