能登半島地震発生から5か月 石川県輪島市出身のシナリオライターが見つめる“ふるさと”の今
避難所では、エコノミークラス症候群を予防するため、JAのスタッフの方や有志の方がラジオ体操を行ってくださり、「お口の体操」もそれに続けて実施されました。 断水時でも、できる限りの口腔ケアを続けることで誤嚥性肺炎の予防に繋がればという思いがあったそうです。 当時のことをお聞きしましたが、「はっきりと思い出せない部分も多くあり、21日間風呂にも入らず、なにをしていたのだろう」と振り返っていらっしゃいました。 今は再建を目指して広域避難を続けています。二次避難が呼びかけられていた1月、「必ず能登に戻すから」という言葉を信じて、今の歩みは遅くとも再建の道を進んでいます。 ○深緑の能登、青空を泳ぐ鯉のぼり 4月のおわり、こどもの日を前に、「能登鯉のぼりあつめ」をしませんか、と有志の方から呼びかけがありました。 4月の「町野町桜あつめ」「能登桜あつめ」というお花見の企画をX(旧Twitter)上で立ち上げたところ、多くの方に桜のお写真を届けて頂いたことを受けてのことでした。 形が変わってしまった窓岩を前に、元気いっぱいに泳ぐ鯉のぼりの写真や、町野小学校の校舎を背に泳ぐ鯉のぼり(震災復興子ども支援さん提供)をはじめ、珠洲の空を泳ぐ鯉のぼりの写真が多数寄せられました。 私の実家もそうですが、各家庭に大きな鯉のぼりがあり、5月になるとゆったりと空を泳いでいたものです。 鯉のぼりが泳ぐ青空というのもまた、能登の景色のひとつなのだということを改めて感じました。 〇長期避難生活に疲れ、危険とわかっていても 季節は巡り、今は、田植えに向けての準備が進められています。田んぼに水を張り始めたというお話を、耳にするようになりました。 地震による地割れや傾きによる影響もまだまだ多くありますが、農作業を進めてくださっている方々のおかげで、今年も水田の風景が見られるのだと思うと、感謝の念に堪えません。 あたたかい季節になり、二次避難から戻られている方のお話を聞くようになりました。