高まるニーズ「無痛分娩」に密着 全国で1割、東京は約3割 増加の背景に少子化や女性の仕事復帰など出産を取り巻く環境の変化
特集は麻酔で痛みを和らげて出産する「無痛分娩」です。年々、ニーズが高まり、去年は国内全体で1割程度が無痛分娩でした。今回、長野市の病院の協力で、無痛分娩に密着。増加の背景などを探ってみました。 【動画はこちら】高まるニーズ「無痛分娩」に密着 全国で1割、東京は約3割 増加の背景に少子化や女性の仕事復帰など出産を取り巻く環境の変化
■「陣痛きたかも」「がんばれ」
分娩台に乗った出産間近の妊婦。 八木春花さん: 「我慢できます。不思議ですね。外においでーって感じですよね」 通常みられる痛みによるつらさはありません。
八木春花さん: 「(陣痛)きたかも」 助産師: 「がんばれ、そうそう」 「おぎゃー」 八木春花さん: 「痛さもなかったので、とっても感動しました」
女性が選んだのは麻酔で痛みを和らげる、いわゆる「無痛分娩」。 近年、増加傾向で日本産婦人科医会の調査によりますと、2023年は11.6%に上りました。
出産前、最後の検診を受けた八木春花さん(36)。八木さんは第2子を「計画無痛分娩」で出産することにしていました。 あらかじめ日取りを決め、麻酔で痛みを和らげながら陣痛促進剤で分娩を誘発し、出産する方法です。不安軽減や体力温存といった効果も期待できます。 八木春花さん: 「一人目を産むんだ時に(分娩)時間が長くてとっても痛くてつらかったので、無痛を聞いて、友達も何人かやっていて痛くないよと聞くので選びました」
吉田病院が「無痛分娩」に取り組んだのは2019年から。この春まで「経産婦」に限ってきましたが、年々、増えていて2023年は37%にあたる112件が「無痛分娩」でした。 吉田病院・花岡立也院長: 「患者さんからの需要が一番。妻の花岡千佳が大学時代、産科麻酔という部門を専門にやっていたので、無痛分娩の手技には慣れていたというのもあって」
無痛分娩では主に硬膜外鎮痛という麻酔が用いられます。 背骨付近の「硬膜外腔」に管を入れ、麻酔薬を少しずつ流して痛みを和らげる方法です。
吉田病院 麻酔科・花岡千佳医師: 「手術の痛み止め、手術の後の痛み止めとしても使われる方法になりますので、無痛分娩にのみ使う特殊な麻酔方法というわけではありません」