能登半島地震発生から5か月 石川県輪島市出身のシナリオライターが見つめる“ふるさと”の今
この循環型炊き出し支援は、温かい食事を提供するのみならず、(1)町野町唯一のスーパー「もとやスーパー」さんの在庫回転の後押し、(2)食事の支援だけでなく、みなさんの交流の場と機会を生み出しています。 具体的には、炊き出しのご支援の間に発生する、待ち時間や飲食の時間を地域の交流の場として機能させてくださり、地域コミュニティの新たな活性化のために、さまざまな工夫をしてくださっているのです。 これまでの炊き出しは、メニューは決められたもので、配布されるものを受け取るというものでしたが、そこから一歩踏み込んで、選べるメニューをご提案くださったことで、町野町のみなさんの食事に対する意識も大きく変わったように感じております。 また、循環型支援として、町野町にお心を寄せてくださるみなさまに呼びかけ、個人のみなさまのご支援と、もとやスーパーさんのご協力で、夏季限定の「アイスの差し入れ」を企画・実施しています。 たくさんの方のご支援のお陰で、これまでの第1回・第2回開催で、合計922個というたくさんのアイスを、町野町と近隣地域のみなさんに差し入れすることが出来ました。 ○被災者の「口の健康」を守った歯科医師、「当時のことは、はっきり思い出せない部分も」 町野町で開業して42年、地域に親しまれていた「広江歯科」は、家屋と診療所が全壊し、避難生活を余儀なくされました。 21日間に及ぶ避難所生活では、町野町ならではの助け合いを感じ、自分もなにかしなくてはと、いわい歯科クリニックの岩井先生とともに「お口の体操」や口腔ケアグッズコーナーを設けて「1日1回のブクブクうがいの励行」などの口腔ケアに取り組み、発災4日目からは訪問用機材を使い、義歯修理などを行っていました。 断水によって水がなく、飲み水にすら困る状況でしたが、マウスウォッシュを一口分だけ含み、小さな紙カップに吐き出し、それをティッシュで吸い取ってコップを使い回す――という工夫をしながら、口腔ケアを呼びかけました。