「プライム」が Amazon のソーシャルコマース戦略の中核になりつつある理由:メタのアプリ内でAmazonの販売商品が購入可能に
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。 Amazonの11月の新たな展開は、Amazonがソーシャルショッピングにおいて勝利につながると考える競合上の優位点を示したということだ。プライム(Prime)のことだ。 メタ(Meta)では11月9日から、Amazonで販売されている商品を紹介する広告がポップアップするようになり、利用者が自分のAmazonアカウントをリンクすれば、メタのアプリ内でその商品を購入できるようになった。11月中旬には、スナップ(Snap)でも同様のプログラムが開始された。どちらのパートナーシップも、Amazonが以前にピンタレスト(Pinterest)と結んだパートナーシップと同様に、ソーシャルメディアを眺めている人々がより簡単に、アプリを離れずにコンバージョンできることに特化している。 「顧客はFacebookやインスタグラムなどのソーシャルメディアアプリを離れずに、Amazonの広告を見て買い物をし、Amazonでチェックアウトできるようになった。今までは不可能だったことだ。米国の顧客は、FacebookやインスタグラムでAmazon商品の広告を選択すると、この新しい体験の一環として、リアルタイムの価格、プライム対象商品かどうか、配達予定日、商品の詳細を見ることができる」と、Amazonの広報担当者はCNBCに語った。
ソーシャルショッピングへの注力
米モダンリテールが消息筋から入手した情報では、このパートナーシップが、少なくともメタ側では完全には運用がはじまっておらず、答えよりもはるかに多い疑問が生まれている。現在のところ、Amazon自身が商品を宣伝しており、各ブランドはまだツールにアクセスできないようだ。この新機能についてAmazonと話した消息筋によると、このパートナーシップでメタとAmazonとのあいだに広告収益は分配されない(つまり、Amazonはメタから収益の一部をもらっていない)ため、Amazonがここでひたすら重視しているのは、ソーシャルショッピングのために使ってもらう頻度を増やすことだとも述べている。 「これがAmazonにとって長期的に機能するには、それにより大幅な成長が促進され、収益のパイが拡大されなければならない」と、eコマースアクセラレーターでAmazonの最大級のサードパーティー出品者であるパターン(Pattern)の広告・デジタルマーケティング担当バイスプレジデントのブレット・バーズリー氏は言う。 バーズリー氏が見るところ、このパートナーシップは双方のプラットフォームに有益となり得る。Amazonはこの5年間にわたってソーシャルショッピングを成功させようとしてきたし、メタは利用者がアプリ内で商品を購入できるよう、多くの試みを立ち上げてきた。「特にメタは、信頼のおけるコンバージョンソリューションをかなりのあいだにわたって探し求めてきた。このソリューションで、ようやく求めてきたものを見つけたように感じられる」と、同氏は述べている。 しかし、現在ささやかれているのは、これは単なるテストだということだ。「これは、Amazonにとって段階的に推進していくのに適切な商品やブランドは何かを見つけだす機会なのだというのが、私の憶測だ」と、バーズリー氏は述べる。「この機能がAmazonに限定されているのは、それが理由なのだと思う。学んでいる段階だということだ」。今のところ、この機能を使って自身の商品を宣伝できるのかどうかについて、「ブランドは発言権がない」と、同氏は説明している。