情報はインターネットがベスト、という考えに異を唱える。学生発信「金沢シーサイドFM」の挑戦
スポンサー社数300社! 地域に支えられて、「インターネットにはない価値」をつくる
天野 大学生がラジオ局を事業化するって聞いたことないですが、資金調達はどうやって? 松原さん 地道に地元の会社をまわって、5,000万円を地域の方たちから集めました。 1社1社に、「地域ラジオを立ち上げたい」っていう話を聞いてもらって… 天野 大学生でそれをやったってことですよね? 松原さん はい、20歳ぐらいのころですかね。 開局に必要な資金は3000万円から5000万円必要だと言われていて、集めきらないと形になりません。正直、「途中で逃げられないぞ」という気持ちもありましたね。 小さな飲食店から地元の一部上場企業まで広くスポンサーを集めて、今現在300社ぐらいのスポンサーさまに支えていただいています。 天野 スポンサーが300社って、すごく多いですよね? もう少し単価を上げたほうがいい、という発想にはならなかったんでしょうか。 松原さん いや、むしろ逆で資金調達時の出資額を1社100万円までとしていました。 スポンサーの社数が多ければ多いほど、入ってくる情報や聴取層も広がると思ってて… 天野 というと…? 松原さん 関わる人の数を増やすことが、より大きな地域貢献につながると思うんです。 スポンサーには地域の病院や飲食店さんもいます。すると、「ラジオにスポンサーしているんだ」ということが会話になったり、口コミで広まったりします。 それによって聴いてくれる人が増えたり、スポンサーしたいという方も増えたりする。病院やお店も1つのメディアになってくるんですよね。 天野 それが“強み”になるということなのか… 松原さん ラジオで名前が挙がったり、情報が発信されたりすることは、やはり地域にとっては「権威性」と感じてもらえて、支持されている感覚があります。 これはインターネットではつくれない価値かなと思います。あ、ネットメディアの『新R25』さんの取材で言うことじゃないですね… 天野 いや、大丈夫です(笑)。 「本1冊出したら、何年間もそれが肩書きになる」という話も聞きますし、いわゆる“オールドメディア”って、歴史が長いからこその強みがあるのはすごくわかります。