落ち着きがない、動き回る我が子…“困った行動”への向き合い方がわかる「ADHD入門書」【書評】
本書には子育て法だけでなく、我が子がADHDかもしれないと思った場合の公的相談窓口や学校との連携の仕方、病院の選び方なども詳しく紹介されている。専門家や学校関係者と我が子のサポートチームを作り、親の心を守ることにも繋がるはずだ。 なお、本書は子どもへのサポートがメインではあるものの、大人のADHDにとっても役立つ一冊である。 実はADHDの「多動性」や「衝動性」は年齢と共に軽快するケースも多いが、「不注意」は大人になっても残りやすい。そのため、青年・成人期には仕事を段取りよく進められない、書類を失くすなどの症状が続き、自尊心が損なわれて、うつなどの二次障害が起きてしまうこともある。 そうした二次障害の予防・改善法やセルフチェックできる成人用の「自尊感情尺度」も本書には掲載されているので、“生きづらさ”を克服するために役立ててほしい。 さらに本書が教える、「薬物療法」「行動療法」「環境変容法」という3本柱での治療法で症状が改善し、日常生活の困りごとを軽減させられるという知識は、大人のADHDにとっても有益な情報になる。正しい向き合い方を知り、今より生きやすい未来を掴んでほしい。 文=古川諭香