米議会でもトランスジェンダーのトイレ巡る論争 公言の候補が初当選
米連邦議会のナンシー・メイス下院議員(共和党)は18日、出生時に男性として生まれ、女性を自認するトランスジェンダーが、下院の女性用のトイレや更衣室を利用するのを禁止する決議案を提出した。 5日の連邦下院選で、トランスジェンダーを公言する候補として初めてサラ・マクブライド氏(民主党)が当選。規則変更の決議案はマクブライド氏に対する「いじめだ」との批判が出ているが、メイス氏は「女性の権利のために闘っている」と主張している。 決議案は、下院の議員や職員らが特定の性別に割り当てられた設備を利用する際、「生物学上の性」に沿って使うよう求めている。利用状況は、議会の守衛官が監視するとしている。 メイス氏はX(ツイッター)への投稿で「生物学上の男性は、女性のプライベートな空間の一員にふさわしくない」と主張した。 一方、マクブライド氏はXに「一般の米国民は、自分とは異なる人生の旅路を歩む人たちとともに働き、敬意を持って接している。連邦議会の議員にも同様の思いやりを持ってほしい」と投稿。メイス氏を「極右の過激派」と批判した。 米メディアによると、他の民主党議員からも「単なるいじめだ」「痛ましい」と反発の声が相次いでいる。しかし、メイス氏は「女性の権利のために闘うフェミニストを極左が過激派と呼ぶなら、それでも構わない」と反論した。 議会によると、下院の議員会館には性別不問の個室トイレが3カ所にある。ただ、個室トイレが設置されていない建物もあり、増設を求める声が上がる。 米国では近年、トランスジェンダーのトイレ利用を巡る論争が続く。NPO「運動前進プロジェクト」によると、13州が公立学校などで自認する性に割り当てられたトイレの使用を禁止。こうした制限は、いずれも共和党が主導している。【ワシントン秋山信一】