三笘薫も「質が素晴らしい」と語る“スター候補”が躍動。なぜブライトンには優秀な若手選手が集まるのか?
現在、上位陣より1試合消化が少ないなかプレミアリーグ5位と躍進続けるブライトン。2戦連続ゴール中の三笘薫の活躍は日本でも大きく取り上げられているが、20歳前後の若手選手たちの躍動がチームの好調を支えていることも間違いない。リーグ王者を撃破した第11節のマンチェスター・シティ戦後に三笘も「選手の質が素晴らしかった」と語った“未来のスター候補”たちの躍動とその理由を紐解く。 (文=田嶋コウスケ、写真=REX/アフロ)
「後半から途中交代で入った選手の質も素晴らしかった」
イングランドで取材を続けていると、記者冥利に尽きる好ゲームに出くわすことがある。11月9日に行われたブライトン対マンチェスター・シティ戦は、まさに手に汗握る一戦だった。 三笘薫を含めたブライトンの選手たちと、シティを率いるペップ・グアルディオラ監督。チームの状況を現すかのように、両者の表情は非常に対照的だった。 ブライトンのマット・オライリーが後半38分に逆転ゴールを奪うと、ブライトンの選手たちは喜びを爆発させた。一方、逆転を許したマンチェスター・Cのグアルディオラ監督は、思わず両手で顔を隠してうつむいてしまう。試合はそのまま2-1でブライトンが勝利。ブライトンが強豪シティを下し、グアルディオラ監督はキャリア初の公式戦4連敗を喫した(この後、シティはトッテナムにも敗れて5連敗となった)。 試合後、英BBC放送のサッカーダイジェスト番組『マッチ・オブ・ザ・デイ』の実況は、興奮気味にこう伝えた。 「ブライトンにとって、何と素晴らしい勝利なのだろう。この試合で、新しい歴史が作られた。ペップはキャリア初の4連敗。当然この歴史は、シティにとって望ましいものではない。一方のブライトンは、新戦力のオライリーが8月の負傷からプレミアリーグに復帰し、うっぷんを晴らす最高のゴールを決めた。間違いなく、今日はブライトンの日だ」 冒頭に記したように、両軍の一戦は好ゲームだった。 前半はシティが5本の枠内シュートに対し、ブライトンは0本。リーグ4連覇中のシティが圧倒した。特に、最後尾から少ないボールタッチで前へ前へと進み、2度にわたって決定機をもたらした一連の攻撃には、グアルディオラ体制の凄みが凝縮していた。 ところが後半に入ると、形勢が逆転してしまう。シティの枠内シュート0本に対し、ブライトンは4本。ブライトンは後半に2つのゴールを決め、2-1で逆転勝利をつかんだ。 元イングランド代表FWで現解説者のアラン・シアラー氏が「前半と後半でまったく違う試合になった。後半はすべてが変わった。前半のブライトンはシティをリスペクトしすぎていたが、後半はプレスの強度を上げ、シティを相手に押し込んだ。ブライトンこそ勝利にふさわしかった」と振り返ったように、ブライトンが見事な逆転勝利を収めた。 4-2-3-1の左MFとして先発した三笘は、試合を次のように振り返った。 「前半は相当苦しい戦いでしたけど、1点で抑えたのがよかった。後半から途中交代で入った選手の質も素晴らしかったので、それに押された形です。 もちろん前半の最初から(仕掛けて)いきたいですけど、あれだけ相手がうまいとハマらない。だが後半に入ると、相手がそこまでプレスに来なかったので、自分たちに余裕ができた。後半あれだけ押し込んで、後ろの選手たちがセカンドボールを拾ってくれたら、サポーターも後押ししてくれる。今日のような展開はホームならではと思います」