三笘薫も「質が素晴らしい」と語る“スター候補”が躍動。なぜブライトンには優秀な若手選手が集まるのか?
ブライトンが誇る独自のスカウティング・システム
ブライトンは、独自のスカウティング・システムでクラブの強化を図っている。英国人オーナーのトニー・ブルームは、ポーカー・プレーヤーとして世界的に名を馳せたことのある元ギャンブラー。生粋のブライトンサポーターでもある彼は、数学とアルゴリズムに精通し、クラブでも選手スカウティングに活用している。ブルームが設立した『スターリザード社』は、膨大なスポーツデータを解析し、統計モデルを用いて試合結果を予測する企業で、同社で培われた高度な統計モデリングや解析手法が、ブライトンの補強戦略に活用されているのである。 具体的にはこうだ。世界中のサッカーリーグからデータを収集し、選手個々のパフォーマンスを包括的に分析。世界的に見て未発掘の市場にも目を向け、潜在的なタレントのリサーチに力を入れている。ここに、各地域に精通したスカウトによる評価を加えることで、独自のスカウティングシステムが機能している。スカウトの評価項目には、選手の性格やリーダーシップの有無、遅刻歴、試合で負けているときの態度なども含まれているという。 なおブライトンのアルゴリズムと分析モデルの詳細は、企業秘密により明らかにされておらず、英紙デーリー・テレグラフは「ケンタッキー・フライドチキンのスパイスに似ている」と表現する。「誰もが認める愛すべきスパイスだが、実際の中身は誰も知らない」との説明は的を射ているだろう。 こうしたスカウティング・システムにより発掘されたのが、エクアドル出身のモイセス・カイセド(現チェルシー)であり、アルゼンチンのアレクシス・マクアリステル(現リバプール)だ。ブライトン加入時はほぼ無名の存在だったが、カイセドは移籍金1億1500万ポンド(約220億円)、マクアリステルは4500万ポンド(約86億円)でそれぞれビッグクラブに売られた。無名選手を安価で獲得し、ビッグクラブに高値で売却するこうしたビジネスモデルが、ブライトン最大の武器と言っていい。