「うちの子、いつもイライラしてる…」それ、“低血糖”のせいかも? 東大准教授が指摘する、低血糖になりがちな「行為」とは
子育てに直面したときに、巷で耳にする、あんなウワサ、こんな説。それってほんとうに根拠があるの? これまで、気になる論文を読んできた、情報理工学博士の山口先生が、世の中にあふれる「子育て説」を科学の面から一刀両断。現在子育てに悩んでいる方、なにかヒントが見つかるかもしれませんよ! 子どもの“イヤイヤ”、実は親が助長させている!? つい親がやりがちなNG行動 今回は、「イライラと低血糖」について、お話しします。
イライラの原因は低血糖?
子どもには栄養が必要であるとはよく言われていますし、みなさんも気になっていると思います。ただ栄養が大事とひと言で言っても、じゃあ何を気にすればいいの?となると、情報が多すぎてわかりませんよね。 そこで今回は、「子どものイライラと低血糖」について考えてみたいと思います。 子どもがイライラする原因のひとつとして、「低血糖」が挙げられます。低血糖というと、甘いものさえあげていれば大丈夫だと思うかもしれませんが、甘いものをあげすぎることによって、逆に低血糖を引き起こしてしまうかもしれないという点について指摘したいと思います。
低血糖になりがちな行為とは
まず前提として考えなければならないのは、子どもはそもそも食べる量が少ないということです。 一見たくさん食べたように見えても、子どもの肝臓で蓄えられる量には限界があるので、十分な量を貯めておくことができません。必要な栄養が足りない場合は、すぐに低血糖になってしまいます。 また、甘いものを一度に摂り過ぎてしまうと、肝臓の働きが邪魔をして、もう十分だと判断してしまい、それ以上蓄えることができません。 特に問題なのは、甘いものを食べながら甘いジュースを摂ること。肝臓への負荷が高く、体の中の判断を誤ってしまいます。これを繰り返すことによって、低血糖になりがちに。 また、食事が足りないのに運動をしたり、緊張を強いたりするなども低血糖の原因となるそうです。特に痩せている子どもは低血糖になりがちともいわれています。
食事だけでなく、おやつも大事
さて、低血糖とは、脳がエネルギー不足になるということです。これが原因で、精神状態に影響が出て、子どもはイライラする傾向にあります。発達にも大きな影響が出るでしょう。 低血糖にならないためには何をしたらいいでしょうか? 食事をきちんと摂ることなども挙げられますが、おやつも与えなければなりません。子どもは一度に食べられる量が少ないので、おやつで栄養を補う必要があるからです。 おやつには甘いものに対する配慮も必要です。お菓子ばかりでなく、フルーツやおにぎりなどにシフトするという考え方もあります。かといって甘いものを全くあげないというのも極端かなと。摂り過ぎないように配慮しながら、ほどほどに栄養をあげるといいですね。 ちなみに適正量はとても難しく、個人差が大きいようです。 うちはなるべく偏らないようにあげています。ジュースをあげる日は、少ししょっぱいおやつにして、逆もしかりです。甘いもののときは、飲みものはお茶です。おやつをあげる時間は、食事を適切に食べられるように逆算して考えるようにしています。 今後も、理系の研究者が母親になって感じた日々の疑問について、私なりに調べ、考えた結果を共有していけたらと思っています。
【Profile】山口利恵
7歳の子どもを持つ母親で、博士(情報理工学)。普段は、東京大学大学院情報理工学系研究科ソーシャルICT研究センターの特任准教授として、情報系の研究を推進。また、情報オリンピック日本委員会や国際大学対抗プログラミングコンテストのメンバーとして、中高・大学生の数理情報科学教育の振興にも邁進。趣味はクラシック音楽。