史上初の“4億円レーサー”誕生なるか?大混戦のKEIRINグランプリ出場権争い、“絶体絶命”からの大逆転にも期待/G1「競輪祭」直前賞金状況
賞金ランク7位以下に動き
寛仁親王牌直前の本企画では「賞金6位までがグランプリ安全圏か」と述べており、6位は眞杉匠の8993万6674円だった。現時点での6位も変わらず眞杉で、獲得賞金は9828万2674円。5位の清水裕友とは驚くことにたった5000円の差である。 順位を上げたのは新山響平。“赤パン”2年目ながらS班に上がってから優勝が一度もなかった新山だが、11月の四日市記念でついに優勝。賞金ランクは7位に浮上した。この熾烈な賞金争いにあって、GIIIの優勝賞金520万円も非常に重要だ。新山は22年の競輪祭覇者で、四日市の優勝インタビューでは「競輪祭でも優勝を」と話した。なお、6位眞杉と7位新山の差は1092万円ある。 新山と入れ替わり8位となったのが脇本雄太。寛仁親王牌では2日目ローズカップと準決勝を1着で優出した(決勝は7着)。脇本は今年、2月GIIウィナーズ、7月の地元福井記念、9月の向日町記念で優勝を挙げている。 ビッグレースの戦績も、9月の共同通信社杯で二予敗退した以外は準決進出、さらに半数以上は決勝にも進めているが、優勝したウィナーズ以外は決勝で確定板に載れていない。さらに高額賞金のダービーを欠場したことも、今の順位に響いていると考えられる。7位新山と8位脇本の差は225万円で、8位脇本と9位岩本俊介の差は825万円だ。
地元グランプリ出場へ“絶体絶命”
悲願の地元グランプリ出場へ、絶体絶命の位置にいるのが10位深谷知広。9位の岩本を502万円差で追っている状況だが、競輪祭を賞金ランク下位の選手が獲った場合を考えれば、9位ではグランプリ出場を手中にできる保証はない。優勝を目指すのはもちろん、格上のレースを走って優出し、賞金を積み増したいところだ。 深谷の追い風になるのが南関勢の層の厚さだ。すでにグランプリ出場を決めている郡司浩平と北井佑季ら充実の布陣で、一致団結して競輪祭に挑むだろう。
崖っぷちからの逆転ドラマは見られるか
松浦悠士は寛仁親王牌前の19位から15位まで順位を上げた。一方、山口拳矢は25位から30位まで順位を落とした。この二人は寛仁親王牌前の時点から、グランプリに出場するためには『GIを獲るしかない』状況となっていた。 タフに走り続け、コツコツ賞金を積み重ねてきた13位の佐藤慎太郎も、賞金でグランプリに出場できる条件がかなり限られており、現実的にはほぼ『獲るしかない』状況。10度目のグランプリ出場を、11年ぶりのタイトルで決める劇的な結末に期待したい。 「GIを獲ってグランプリに」というのは、選手からよく聞かれるフレーズだ。GIタイトルというのはそれだけかけがえのない栄誉である。 それに賞金ランク下位の選手が競輪祭を獲った場合は、賞金でのグランプリ出場枠が減ることになる。よって、賞金で出場できる可能性が残されていても「とにかく1円でも多く稼ぐ」というより「競輪祭を獲るのみ」と考える選手が多いだろう。