「ザ・ワールド」よりも「ヘブンズ・ドアー」――高橋一生が語る岸辺露伴と「ジョジョ」、そして自分
梅干しがあれば、無限に白飯が食べられます
ルーヴル美術館が舞台となった映画の撮影では、仏パリに長く滞在した。高橋にとってパリでのロケは二度目となる。 海外での逗留で心がけていることは、まず「水を確保すること」。 「シャワーの水が変わると、肌や髪の感じも変わってしまうので、体内に入れるものは、なおさら意識しています。海外では、地元の人に『おいしい水ってどれですか?』と聞くところからはじめて、たくさん買い込みます」 海外が苦手なわけではないが、すぐに日本に帰りたくなるという。 「最初は楽しいんですけれど。おいしいものもたくさんありますし。フランスでも、さすが農業大国だなと食事を楽しんでいたんですが、途中から白飯が恋しくなってきて…」 パリへも、コッヘルと真空パックのコメを持ち込み、ホテルのキッチンで炊いて食べていた。 「梅干しがあれば、無限に白飯が食べられますね。それこそ梅干しの余韻で、お米が食べられるくらいです。白飯と同じく、街並みもだんだん日本的なものを欲するようになって、早く日本に戻りたいという気持ちになりました」
そんな高橋といえば東京・赤坂育ち。意外だが、日本的な“ふるさと”の原体験も、そこにあるという。 「赤坂は、御所があって、少し上へいくと迎賓館があって。昔の日本建築がたくさんあるんです。僕らの遊び場は、御所周辺の森でした。自然の中を駆けずり回って、タヌキを追いかけたり。地方出身の人と話していても、あまり変わらないなという感覚です」 クールな都会っ子で、洗練されたものが好き。高層マンションの何もない部屋でミニマムな暮らしをしている…ようなイメージがあると言うと、それは誤解だと笑った。 「想像されているようなアーバンな生活ではないです。部屋にもモノがたくさんありますし。本もそうですけれど、愛着のあるモノを近くに置いておきたくなるんです。生きている間は、何かそういう大切なモノに囲まれていることが、居心地の良さに繋がっていくと思うので」 岸辺露伴の部屋も、たくさんの本と不思議なモノであふれ、居心地が良さそうだ。 俳優の実像と役柄は別物だと知りつつも、このキャスティングはやはり絶妙だと得心した。 ____ 高橋一生(たかはし・いっせい) 1980年、東京都生まれ。俳優。映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍。舞台『天保十二年のシェイクスピア』で第45回菊田一夫演劇賞、NODA・MAP『フェイクスピア』で第29回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞。近年の主な出演作に映画『ロマンスドール』、『スパイの妻』、ドラマ『雪国 -SNOW COUNTRY-』、『岸辺露伴は動かない』、『6秒間の軌跡 ~花火師・望月星太郎の憂鬱』、舞台『2020(ニーゼロニーゼロ)』など。NODA・MAP第26回公演『兎、波を走る』の出演を控える。5月26日、主演映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が公開予定。