「ザ・ワールド」よりも「ヘブンズ・ドアー」――高橋一生が語る岸辺露伴と「ジョジョ」、そして自分
どちらかというと相手の気持ちは読めるほうだと思います
ジョジョシリーズには数多くの人物と、それぞれが持つ特殊能力が登場する。 自身が何かを使えるとしたら、何を選ぶ? 「『ヘブンズ・ドアー』一択です。『ザ・ワールド』(時間を止める能力)もいいですけれど、発動するまで時間がかかるので、その前に書き込んだ方が早いかなと。ヘブンズ・ドアーを使って読んでみたいのは……、自分です。やっぱり自分は、意外とわからないもので。自分さえわかれば、ある程度他者のことは想像がつくのではないかなと思います。小さい時のことや、記憶の片隅にあるものを、どのように受け取っていたのかということが事細かに書かれているのだとしたら、ぜひ読んでみたいです」 実際の高橋は、相手の気持ちを“読める”タイプなのだろうか。 「どちらかというと読めるほうだと思います。けれど、そこには自分の解釈しか存在していないので、それで十分だと思います、真実なんかどうでもよくて。『きっとこの人はこうだろう』と思える、何か片鱗のようなものを得るために、つついたりすることは、けっこうやっているかもしれません。それもたぶん、芝居に生きていると思います」 高橋は芝居をする上で、自分自身にエフェクトをかけることを意識しているという。無理に感情を作り出すのではなく、形を出していく。 「時代劇でカツラをかぶるような感覚です。僕は、感情をポーズで表す歌舞伎の“型”が好きなんです。例えば女性を演じる時、腕をどの位置で組むかで年齢を表現したりします。年齢を重ねるに従って筋力がなくなるので、腕の位置は下がる。それだけで、おばあちゃんに見える。そういう、形に助けられている感情は、たくさんある気がします。外側に見ている形というものを、どれだけ自分の感情へ持って来られるか。これは日常生活で使いこなしすぎるといやらしくなるんですけれど、俳優としては日常的にやっている気がします」 演技について語るその姿は、まるで自身の特殊能力を解説しているように見えた。