父が、孫のために「毎年110万円ずつ15年間渡す」と言っています。「非課税」だから問題ないそうですが、本当に大丈夫でしょうか? 注意すべき点を教えてください
相続時精算課税の法改正と注意点
贈与税には暦年課税のほかに「相続時精算課税制度」が存在します。原則60歳以上の両親や祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対して財産を贈与した場合に選択できるものです。「最大2500万円の特別控除額」が活用できるため、多額の財産を渡したい人にとってはメリットがあります。 今回の法改正では、相続時精算課税制度を選択した場合も、特別控除額とは別で110万円の基礎控除枠が設定されました。これにより110万円以下の贈与であれば相続財産への加算も不要なので、場合によっては暦年課税よりも有利になるケースもあります。ただし、いったん相続時精算課税制度を選択すると途中で暦年課税に戻せないため、慎重に検討する必要があります。
結局どうするべき? 祖父から孫への贈与で注意したいこと
今回の法改正をふまえると、原則相続人とならない孫に対しては従来どおり暦年贈与で110万円ずつ渡すと、できる限り税負担を軽減しながら生前贈与対策を行うことができると考えられます。 ただし、定期贈与とみなされると課税される可能性があるため、将来的に1500万円以上渡すと約束するのではなく、金額も固定せずに毎年贈与契約を交わすことをおすすめします。
まとめ
本記事では、祖父が孫のために毎年110万円ずつ贈与する場合、基礎控除額の範囲内であれば非課税となるのか、法改正の内容もふまえて注意したいポイントについて解説しました。 贈与や相続は状況が複雑に絡み、適正な対策や申告手続きができなければ、後日、税務調査を受ける可能性もあります。具体的な計算方法や制度活用のメリット・デメリットは人それぞれ異なるので、分からないことは税理士や税務署に質問してみましょう。 出典 国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税) 国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合 国税庁 令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし 国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部