「ベストプレーヤーを語るなら優勝回数を見るべき」ケンプが選ぶGOATはチェンバレンではなく“真の勝者”<DUNKSHOOT>
「こう言うと非難する人がいるだろうけど、俺の中ではビル・ラッセルなんだ。リーディングスコアラーでなくともベストな存在であり、あらゆることをこなしてきた」 208cm・98kgのラッセルは、セルティックス一筋13シーズンをプレーし、選手兼監督を含めて11度のNBAチャンピオンに輝いたビッグマン。11度の優勝は歴代最多で、MVPに5度、オールスターに12度、オールNBAチームに11度選ばれてきた。 レギュラーシーズン通算963試合でキャリア平均15.1点、22.5リバウンド、4.3アシスト、プレーオフ通算165試合では同16.2点、24.9リバウンドと、同時代に1試合100得点を記録するなどコート上を支配したウィルト・チェンバレン(元フィラデルフィア・ウォリアーズほか)のような爆発的なスコアラーではない。 それでも、ケンプはラッセルがコート上で残してきたレガシーをこう話していた。 「彼は味方を助けることができ、(自チームへ)ボールを保持させてきた。ビル・ラッセルはブロックショットを決めてボールをキープした初の選手だったんだ。俺たちはブロックして客席の17段目くらいまで弾いてきたけど、彼の場合はそうじゃなかった。 長い間バスケットボールを観てきて、ウィルト・チェンバレンは間違いなくビーストだったが、ビル・ラッセルの方がハードにやっていた。だからこの際正直に言う。すべてにおいてベストなプレーヤーを語るなら、どれだけ多くのチャンピオンシップを勝ち獲ってきたかを見るべきなんだ。彼の功績を考えれば、彼こそがその位置にいるべきだ」 ケンプはNBAキャリアのなかでエース、主力の一角、スターター、ベンチスタートのロールプレーヤーと立ち位置が変えながら10度プレーオフへ進出したが、結局チャンピオンシップを手にすることはできなかった。 ポストシーズンで勝ち抜くことの難しさを痛感しているからこそ、ラッセルに最大級の賛辞を送ったのだろう。 文●秋山裕之(フリーライター)
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