3月モスクワのテロ事件はイスラム国の仕業だ!
国際的注目を集めていた、反政権派指導者、ナワリヌイ氏の先日の収監中での事実上の殺害が象徴するように、今のプーチン政権には米欧からの違法行為批判を気にする気配はさらさらない。 こうしたプーチン政権の強権化を加速させているのが、3年目に入ったウクライナ侵攻だ。侵攻開始直後から、ロシア兵がウクライナ兵捕虜を殺害したり、ロシアの民間軍事会社ワグネル幹部が脱走した傭兵を殺害したとする動画がネット上に出回わっている。
■非人道的な残虐行為を犯すプーチン政権 プーチン政権は明らかに非人道的な残虐行為への感覚がマヒしている。ロシア社会全体の人権感覚も一層鈍くなっている。 こうした社会の大きな変化を背景に、先述の被疑者への当局による追及は今後さらに過酷になるだろう。 ロシアの人権活動家の間では、容疑者が、今後の取り調べの中で、ウクライナとの関わりを認める虚偽の自白を強制されたり、当局に協力しない場合、殺される事態を懸念する声も出ている。
この面で今回の捜査の行方は、今後の「プーチン・ロシア」全体の動向を占うひとつの試金石になるだろう。
吉田 成之 :新聞通信調査会理事、共同通信ロシア・東欧ファイル編集長