「お任せ民主主義」にさせない!四條畷市・東修平市長が構想する民主主義の学校とは?選挙ドットコムちゃんねるまとめ
「失政がない」のがいい首長?市民が評価できる仕組みとは
市民が得られる情報が不足しているというのが、東氏が掲げるもうひとつの問題意識です。 報道だけでは、キャッチーな話題で空気作りがあっても「首長のマネジメントによって、どうよくなったかという指標がない」と指摘する東氏。 東氏「結果として4年前に投票した人も、漠然とした基準で評価せざるを得ない。それは良くないと思いまして」 東氏は、自身の政策で市民に何ができていて何ができていないのかを知らせるため、市政報告として64ページの冊子を発行しました。 各地の選挙に関わる松田馨氏は、選挙では、人柄とか面識があるという部分で一定程度投票行動が左右されるのは仕方ないことと前置きしつつ、首長の成果のわかりづらさを説明します。 松田馨氏「市役所にはたくさん優秀な職員もいて仕組みもあるので、誰がやっても一定程度の成果が上がる。でも、そこに優れたリーダーが来て、職員や議会の理解を得て、いろいろなことが進む。そういうことを市民はご存じない」
松田氏は、地方自治の特徴である二元代表制にも言及します。 松田氏「政治家というと、国会議員をイメージする人が多い。国会は議院内閣制だが、地方は二元代表制」 二元代表制における首長の評価は、判断の軸が市民にないと厳しい。わかりやすい例では、人口がどう増えたか、税収がどう増えたかなどですが、ほかにもたくさんあります。 東氏「(評価の判断に関する)アナロジーとしては、民間企業のマネできるところもマネすればいい。統合報告書ではさまざまな財政指標を載せており、株主の判断根拠に用いている。首長は提出を求められていない」 松田氏も「失政がないということが、次を選ぶ理由になるんですよ」と力説します。 東氏は「失政がないことでいいこともあれば、緩やかに衰退しているパターンもあり、この時が危険信号」と語り、人口減少を例に説明します。 東氏「人口の減少はわかりやすい。田んぼだったところが住宅に変わって人口が増える時期をもって人口増というのか、激減しているのを、まだ減っているけれど、下がり具合をとどめたら実績になる」 東氏は、1700を超える全自治体と比較するのは難しいが、 ・近隣自治体と比べる ・同規模の自治体と比べる ・産業構造の類似性で比べる といった分類軸のアイデアを例示し、「ある程度分類して、諸要素が似ているところと比較してどうかということを検討すれば、僕はできると考える」と説明します。 こう説明する東氏に、MC鈴木邦和も「有権者に判断する時の基準があったほうがいいと思っている」と呼応します。 松田氏は、掲げた政策が実現されたかどうかのチェックが、次の投票に反映されていない問題点を指摘します。 松田氏「政策で選ぼうというのがあるじゃないですか。どういう政策を掲げるかも大事。掲げた政策が果たして実現できるのか。財源を含め、いろいろな面で評価されるはずだが、選挙が終わると忘れてしまう」 有権者が「お任せ民主主義」「陳情民主主義」とならないために、東氏は次の2点の必要性を指摘します。 ・有権者に判断材料を提供する ・選挙以外での民意を集約するテクノロジーの活用 東氏の任期中にはコロナ禍がありました。東氏はコロナ前に市役所業務のデジタル化が進んでいたことが、コロナ対応に集中できたと振り返ります。 東氏「コロナがなければ、市職員も市民もそのことに気づけなかったかもしれない。危機に備えておく力というのは、非常に重要な素質のひとつなんだろうと思います」