『電車男』誕生から20年「秋葉原のオワコン化」が止まらない虚しすぎる理由…池袋に「オタクの街」の座まで奪われて
公式志向と二次創作の衰退
さて、10~20代のみならず、私の周りにいるいにしえのオタクたちの間からも、「最近は秋葉原に行ってない」という声が聞かれる。いったいなぜ、秋葉原離れが進んでいるのか。 最大の理由は、ネット通販の発達により、別に秋葉原に行かずともグッズや本を購入できる点が挙げられる。秋葉原に店舗を構えるショップはほとんど通販を行っている。通販でも店舗ごとに特典がつく例も多いし、わざわざ交通費をかけていく必要がなくなったのだ。 2000年代の頃の秋葉原は、『ドラゴンクエスト』でいう“出会いの酒場”のような場としても機能していた。例えば、コミックマーケットの後は秋葉原に集まり、購入した“戦利品”を披露し合ったり、オフ会を開催する流れがあった。 しかし、近年は推し活文化の広がりで、ライブやコンサートなど、オタクが集まれる場は格段に増加した。敢えて秋葉原に行く理由がなくなってしまったのである。 当時、アニメやゲームのキャラの絵がそこらじゅうにあふれている場所はほとんどなかった。ところが、秋葉原に行けば絵に囲まれる空間があったため、オタクは高揚感が得られたのである。 今では、アニメグッズはコンビニでも当たり前のように置いているし、100円ショップでも販売されている。静岡県の沼津市のように、アニメの舞台になった地方都市にはキャラの絵が溢れている。オタク文化がニッチなものではなくなったのも、秋葉原の存在感が低下している要因だろう。 コミックマーケットも高齢化が進んでいるとされる。巨大な店舗を構えていた同人誌ショップ「とらのあな」が秋葉原から撤退したように、若いオタクは二次創作や同人誌に関心がなくなっている印象を受ける。 ネットでは二次創作は相変わらず盛んであるが、むしろ近年のオタクは“公式”志向が強い。現在、20年前とは比べ物にならないほど公式のグッズが販売されるようになり、二次創作にお金を払う文化は衰退しつつあるのかもしれない。