フェラーリ499Pの2024年は2勝止まりも、“ジョーカー”には満足「努力しなければいけないのは分かっている」/WEC
フェラーリの耐久レースカー部門責任者であるフェルディナンド・カニッツォは、2024年WEC世界選手権最終戦のバーレーンで499Pが見せた「大きな進歩」は、ル・マン24時間レース後に投入したエボ・ジョーカーが意図したとおりに機能したことを証明していると語った。 【写真】2位でフィニッシュ後、ペナルティにより表彰台を失った51号車フェラーリ499P 2024WEC第8戦バーレーン このイタリアのメーカーは先月、2年目のハイパーカープログラムを残念な結末で終えた。51号車が2位から失格となり、ドライバーズ・タイトル獲得の可能性がわずかにあった50号車も、11位で決勝を終えていたのだ。 この結果、フェラーリはマニュファクチャラーズ・ランキングで3位となり、最終的にタイトルを奪ったトヨタに53ポイント、2位のポルシェには51ポイント差をつけられた。 しかしバーレーンは、ル・マン後の7月に行われたサンパウロ戦に間に合うようにブレーキ性能の向上を目的としたジョーカーが追加されて以来、2台のワークス・フェラーリにとって最高の結果となった。 カニッツォは、バーレーンの8時間レース終盤で51号車フェラーリが優勢だったことを強調したが、そのアドバンテージは2台のセーフティカーによって打ち消され、さらにタイヤ割り当て超過でペナルティも受け、表彰台を失うこととなってしまった。 「まず、2023年と比べて大きく進歩したことを強調したい」とカニッツォは記者団に語った。 「クルマのパフォーマンスレベルには、概ね満足している。ル・マン後にジョーカーを仕掛けたが、これはメリットが見られると期待していたレースウイークエンドの1つであり、実際、セットアップや戦略の選択を制限していなかった」 「(51号車でバーレーンの)レースのほぼ全体をリードできたことを考えると、我々が行った戦略とタイヤマネジメントは素晴らしかった」 「私としては、後退できるだけのクルマのためにセーフティカーを導入するのは残念だった。我々は、ライバルとの差を大きく広げることができ、ミスもしなかった。しかし、2台のセーフティカーが他のクルマのミスを完全に帳消しにした」 「マシンは、非常に良いペースを引き出すことができていた。ピークパフォーマンスではないかもしれないが、この特定のトラックではタイヤマネジメントがペース維持能力を決定することを知っているので、ピークパフォーマンスを狙ったことはない。これが我々のやり方だ」 「このレースは、タイヤを適切にマネジメントし、非常に高いレベルのペースを維持できたときの我々の優秀さを証明している」 ■8戦中2戦でパフォーマンスが「イーブンではなかった」 フェラーリは2024年シーズンに2勝を挙げている。1勝はル・マンでアントニオ・フォコ、ミゲル・モリーナ、ニクラス・ニールセンの50号車が達成したもので、もう1勝は9月のサーキット・オブ・ジ・アメリカズでサテライトのAFコルセ83号車によるものだ。 フォコ、モリーナ、ニールセンはドライバーズランキングで2位となり、ジェームズ・カラド、アントニオ・ジョビナッツィ、アレッサンドロ・ピエール・グイディの51号車は、バーレーンでのペナルティにより8位となった。 カニッツォは、イモラとスパで勝つチャンスを失ったことに「フラストレーション」を感じていると認めた。前者は天候悪化時の戦略判断ミス、後者は議論を呼ぶ形で当初のレース時間を超えて延長されたレースでの赤旗のタイミングによるものだった。 しかし彼は、シーズンを通して少なくとも5レースで競争力のあるパッケージを持てれば満足できると付け加え、カタールのシーズン開幕戦と富士での499PのBoP(性能調整)に対する不満をほのめかした。 「シーズンの終わり方について気分は良くないが、シーズンの初めはうまくやれたし、ジョーカーもうまくいった」とカニッツォ。 「明らかにパフォーマンスがイーブンでなかったカタールと富士の2レースを除けば、イモラ、スパ、ル・マン、オースティン(COTA)、バーレーンと8レース中5レースで非常に競争力があった。8戦のうち2レースは、私の意見では無視できる」 「たとえ結果が伴わなかったとしても、我々は満足すべきだ。実行や決断などを改善するために努力しなければいけないことは分かっている」 「だが、我々はまだ若いチームだ。まだ2年目なので、あらゆる面で若いのだ」 [オートスポーツweb 2024年12月06日]