電動キックボードの日常化が生むマナー問題、LUUPが警察連携とGPS監視で対応へ、全国1万拠点の成長がかかる安全対策
電動キックボードと聞くと、観光客や若者向けの乗り物というイメージを持つ人も多いだろう。しかし、シェアサービス「LUUP(ループ)」の利用実態は大きく異なる。全国1万箇所のポートを展開し、アプリダウンロード数300万を突破した同サービス運営会社のLUUPは10月24日、タレントの二宮和也氏を起用した初のテレビCMを発表した。その背景には、確かな手応えと新たな都市インフラへの挑戦がある。 【画像】電動キックボードの利用実態。若者向けの「流行りもの」ではない ■イメージと実態の大きな乖離
「正直、世間の方々のイメージは、私たちの実態とかなり乖離しています」。24日、都内で開催された新CM発表会で、LUUP代表取締役CEOの岡井大輝氏はこう切り出した。 一般的に「遊び」や「レジャー」のツールと思われがちな電動キックボードだが、平日の利用の85%は通勤や買い物など、日常の移動手段として使われているという。休日でさえ、観光や散策目的の利用は16%にとどまる。 若者向けの「流行りもの」というイメージとも実態とは異なる。「40~50代の方々も含めて、幅広い年齢層の方に日常的に使っていただいています」と岡井氏。家族での利用も増えているという。
■規制との闘いから生まれた新制度 創業時のLUUPは、介護分野でのサービス展開を目指していた。「Uber Eatsのような仕組みで、介護士さんを短時間単位で派遣するサービスを考えていました」と岡井氏は振り返る。 しかし、構想を練る中で、根本的な課題に行き当たった。日本の都市部は鉄道網が発達している一方で、駅から離れた場所へのラストワンマイルの移動手段が不足している。介護士が効率よく移動できなければ、マッチングサービスも成り立たない。そこでまずは、移動インフラの整備に軸足を移すことを決断した。
2020年、同社は電動アシスト自転車のシェアリングサービスからスタート。より柔軟な移動手段として電動キックボードにも着目した。 当時、電動キックボードは厳しい規制環境に置かれていた。原動機付自転車として扱われ、最高速度30キロメートル毎時での走行が可能だった一方で、運転には原付免許が必要だった。「この速度設定は国際的な基準と比べて高すぎます。諸外国でそんな速度で走れる電動キックボードは、ほぼ存在しません」と岡井氏は当時を振り返る。