生成AIで「架電数60%増、大幅コストカット」 マネフォの営業・マーケに迫る
Q:AIを活用するに当たり気を付けていること
重要なのは、安全性と利便性の双方を担保した環境整備と、メンバー間におけるAI活用の機運醸成であると思います。 環境面では、社内用のChatGPT環境「MF AI Chat」を整備しました。これまでセキュリティの観点から、業務での使用に申請が必要であったChatGPTを、より効率的かつ安全に、社員であれば誰でも使えるようにしました。「MF AI Chat」はChatGPTをラッピングしたツールで、GPTだけでなく、Claudeなど、さまざまなLLMモデルを活用できます。 また、AIに関する社内ガイドラインも整備しました。権利関係の注意喚起や、どのデータをどのツールに使用可能かを判断できるカテゴリー判定表などを社内に展開しています。 機運醸成の方法としては、社内の有志メンバーによるAIコミュニティーを作り、情報交換や悩み相談、アイデア出しなどを活発に行えるようにしました。部署役職を超えてオンライン上に集まったコミュニティーメンバーが、業務にすぐ使えるスクリプトのテンプレートを「MF AI Chat」にあらかじめ登録してくれたり、インサイドセールス向けの勉強会を開催したりすることで、これまでAIを触ったことがなかったメンバーも気軽に試そうと思える空気作りを意識しました。 そして現場のメンバーにとって、便利で使ってみたいUXになることにこだわり、企画・開発をしています。例えば、セールスフォースとの議事録連携は、フィールドセールス担当者側のアクションがワンクリックで完結する、というシンプルな体験にこだわりました。
Q:この先、AIは営業の業務をどの程度代替できると考えるか
米Gartnerは「2028年までに営業担当者の業務の60%はAIによって実行される」と、また、米McKinsey&Companyは調査の結果「営業業務の約3分の1が現在のAI技術の活用により自動化できる」としており、私も基本的にはこの考え方に同意します。 特に商談前の企業調査や分析、仮説検証や提案資料作成、また、商談後の議事録や契約業務、見積作成などのいわゆる事務業務はほぼAIにより代替が可能と考えています。 一方で、商談「中」に関しては、まだまだ人間が時間を費やすべきだと思います。営業が担うべき業務の本質は、「顧客の成功へのコミット」ですので、AIで削減できた時間を、顧客とのコミュニケーション部分にもっと費やす必要があります。 具体的には、業務に関するお困りごとのヒアリングや、業務改革の提案、そして成功に向けて顧客と伴走することなどは、引き続き人間が担うべきだと思います。 将来的にはこういった部分もAIによる代替やアシストが行われていくかもしれませんが、AIから得られる予測や分析結果には、まだ正確とは言い切れない部分もあるため、当分の間は人に代替するまでのレベルにはならならないと思います。