ホンダのビーチクリーン活動応援団長“さかなクン”が試験導入中の2人乗り小型電動モビリティ「MPP-4W」を体験
本田技研工業は、2000年に「技術で世の中の役に立ちたい!」という開発者たちの思いをきっかけに、HGA(朝霞研究所)でビーチクリーン用機材の開発を開始。2006年には従業員で作る海岸を掃除するキャラバン隊を発足し、“素足で歩ける砂浜を次世代へ”をスローガンに掲げ、砂浜のゴミを回収する「ビーチクリーン活動」をスタートさせた。 【画像】この日の由比ガ浜には、総勢568名が集まり、ビーチクリーン活動を行なった 現在では全国のホンダ販売店やグループ企業、地域の行政や住民へと協力の輪が広がり、参加者が年間7000人を超える活動規模へと発展。また2024年4月には、一般社団法人「SD Blue Earth・青い地球を育む会」のキャプテンを務める“さかなクン”を応援団長として迎え、環境を大切にする心を育むための活動を強化している。 2024年度は北海道小樽市の「小樽ドリームビーチ」から、鹿児島県鹿児島市の「磯海水浴場」まで、全25回の活動を実施。10月26日には神奈川県鎌倉市「由比ガ浜海水浴場」にて、2024年最後のビーチクリーン活動が行なわれた。 当日会場となった由比ガ浜海水浴場には、地域住民を含め568名が参加したほか、松尾崇鎌倉市長も来場し、参加者への感謝を述べつつ、「鎌倉市由比ガ浜での活動は2回目になります。今回はよりクリーンなビーチクリーン活動に進化させるために、ホンダさんが独自に開発したサイド by サイドEVを持ち込んでいただきました。全員で地球環境保全活動に取り組み、砂浜が綺麗になるとともに、自分の心も綺麗になるのを感じていただければと思います」とあいさつ。 ■ ビーチクリーン活動の流れ ホンダのビーチクリーン活動は、各海岸の管理者である自治体との連携が基本で、要請があればスケジュールなどを検討して、実施が決まる。活動の基本は参加者(ボランティア)による手拾い。その後ホンダのビーチクリーン機材を使用して、手では拾えない深い場所に埋まったゴミなどを拾い出し、地域のルールに沿った分別を行なって処分している。ボランティアへの参加方法は、各自治体の募集要項に沿った形となっている。 ビーチクリーナーは、米国ホンダが製造する単気筒648cm3エンジンとトルクコンバータを搭載したフル電子制御式3速ATを組み合わせることで、乗用車感覚の力強く快適な走りを実現したATV(All Terrain Vehicle)の「RINCON TRX650FA」を使用。 最初に「サンドレーキ」という大きな熊手のような装置を引っ張り、砂浜の掘り起こしからスタート。そのあと、前部にある鉄のバーが小さなゴミを砂とともに跳ね上げ、後方の金網でキャッチする構造の「サンドスクリーン」という装置を使用する。金網を振動させることで砂だけをふるい落とし、タバコの吸い殻、ガラス片、プラスチック片、釘、ペットボトルのフタ、花火の燃えカス、注射器などの小さなゴミを効率よく回収できる装置で、走行時に“バタバタ、バタバタ”と音が出ることから「バタバタ」と呼ばれている。 ただしビーチクリーナーに関してホンダは、あくまでモビリティはサポート的な位置付けで、基本的には個人の意識と活動が重要で、1人でも多くの人が環境問題に目を向け、砂浜を汚さない、普段からゴミを拾うなど、行動に移してくれることがもっとも効果的とのこと。 また、この日はビーチクリーン活動の後、さかなクンによる「海洋プラスチックに関する環境授業」を実施。125名が参加して、さかなクンの特別授業を楽しんだ。なお、約1時間で回収できたゴミは、可燃ごみ375kg、不燃ごみ70kg、流木30kgだっという。 ■ 進化し続けている「ビーチクリーナー」 現在ビーチクリーナーに使用している「RINCON」は、ガソリンエンジンのため排ガスが出るので、よりクリーンな活動へと進化させるためにホンダは新型ビーチクリーナー「Mobile Power Pack 4W-Vehicle Concept(MPP-4W)」の開発を推進。2024年から検証を開始し、今回の会場にも導入。さかなクンだけでなく会場にいたボランティア参加者も試乗して、静粛性や乗り心地、パワフルさを体感していた。 MPP-4Wのベース車両は、米国ホンダが製造販売しているサイド by サイドの「PIONEER 500」。通常モデルは475ccの4ストロークエンジンを搭載しているが、ホンダは独自に開発している着脱式可搬バッテリ「Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパック イー)」を4つ搭載できるように改造。エンジンとガソリンタンクがなくなったスペースを活用しつつ、前後に駆動用モーターなどを搭載し、4輪駆動のEV(電気自動車)に仕上げている。 MPP-4Wを試乗したさかなクンは、「パッと見たらきれいな砂浜も、よく見ると実はすギョくたくさんギョミが落ちています。1人では大変だけど、みんなで力を合わせたり、ビーチクリーナーを使えば短時間で砂浜をきれいにできます。今日乗ったMPP-4Wは、EVだと気が付かないくらいパワフルでした。また、静かだし排ガスも出ないのがいいですね」とコメントしていた。
Car Watch,編集部:塩谷公邦