国家試験に合格した安藤なつ「自分の介護経験の答え合わせをするみたいで面白かった」ヤングケアラーへの思いも
家族の介護で大変なところは、気持ちが切り離せない部分。たとえば、家族が認知症になったり、事故で足が動かなくなったとします。それまで動けていた母親が足を動かせなくなっていたら、周りも絶対につらいじゃないですか。介護を受ける本人も、家族から世話にならなければいけないフラストレーションが溜まってしまう。それを介護する子どもにも、イライラが連鎖していく…。そんな状況になるなら、第三者を入れて介護のサービスを受けてもらったほうが絶対にいいと思います。
── どうしても、身内の介護は家族でやろうと考えてしまいがちですが、介護サービスを上手く利用したほうがいいと。 安藤さん:私が介護をしているのと、ヤングケアラーの方とでは、状況がぜんぜん違います。自分たちで抱え込まないで、人に頼めるものは頼んだほうがいい。それが薄情かって言われたら、絶対にそうではないので。自分も、家族が倒れたら絶対に第三者による介護サービスをお願いするつもりでいますし。介護はある程度家族と切り離して、ほかのサービスに任せていいと思います。
■「死ぬまでにどれだけ楽しく過ごせるかを考えたい」 ── 認知症のおじいさんに折り鶴を折って渡したら、おじいさんが翌日、チラシで大きな折り鶴を折ってくれていたことがあったとか。 安藤さん:折り鶴のおじいちゃんのおうちには、立位が取りづらかったのをサポートするために夜中に訪問していました。ベッドの横にあるポータブルトイレに誘導する間も、夜中だったので全然会話がなかったんです。本当に物静かなおじいちゃんで。だから折り鶴をもらったときは、めっちゃ嬉しかったですね!
ケアプラン(介護サービス計画書)の中に折り鶴を折ることは入っていないので、折り鶴を置いてくるのはどうだったのかな…。でも嬉しかったです。 ── 介護の現場にいると、どうしても死という悲しい別れと直面しなければなりません。安藤さんはどのようにして受け入れられるようになったのでしょうか。 安藤さん:自分の場合は、小さい頃から人が亡くなるというのを見ていたので、ゆっくりと慣れていったのだと思います。あと子どもだったから、周りも隠していたのかもしれません。しばらく施設に来ていないな…って思ったら亡くなっていた、みたいな。