国家試験に合格した安藤なつ「自分の介護経験の答え合わせをするみたいで面白かった」ヤングケアラーへの思いも
だから死に直面はしていなくても、徐々に受け入れていく形で成長していったのだと思います。そういう意味では、急激な死みたいなものを目の当たりすることは、あまりなかったですし、大人になってから直面すると、きっとショックも大きいですよね。 ── つらい別れを経験したときには、どのように気持ちを切り替えていましたか? 安藤さん:死について考えてしまうと悲しくなるかもしれないけれど、介護に関わる人たちは多分、“死ぬまでにどれだけ楽しく過ごせるか”っていうほうに気持ちをシフトしているんじゃないかと思うんです。
“死ぬのは嫌だね”っていう寄り添い方もあるかもしれないけど、「ちょっと楽しいことをしてみよう」とか「美味しいものを食べよう 」っていうふうに意識を変換してみるといいと思います。 ── 安藤さんがいまも介護にかかわり続けていることに対して、周りからはどんな反応がありますか? 安藤さん:私に介護の世界を教えてくれた伯父はすでに亡くなっていますが、母の姉が伯父の奥さんなので、ときどき会いに行って話をします。喜んでくれていると思います。基本的には私は裏方体質で、中心に立つタイプではなかったんです。でも周りから支えられて、自分も頑張れるっていうのは根底にあります。これからも引き続き、縁の下の力持ちみたいな形でサポートできるような活動ができると嬉しいです。
PROFILE 安藤なつさん 東京都出身。2012年にカズレーザーとメイプル超合金を結成。2015年『M-1グランプリ』では決勝進出し、ファイナリスト9組に残った。介護職の経験は、ボランティアも含めると約20年。ホームヘルパー2級、介護福祉士の国家資格も取得。厚生労働省の補助事業『Go!Go!KAI-GOプロジェクト』では副団長を務めている。 取材・文/池守りぜね 撮影/山田智絵 イラスト/まめこ
池守 りぜね