70代おひとりさま女性が、年金で暮らせる「町」がある。リーズナブルなサ高住、自立期から看取りまで
◆自立型の高齢者施設 筆者が取材に行った時には、サ高住の平屋が建ち並んでいるエリアで、押し車を押してゆっくり歩いている高齢女性や、ひとりで散歩をしている高齢男性を見かけました。各戸の玄関まで荷物を届けに走る宅配便の運転手とも、すれ違いました。元小学校の校庭ですから、平坦です。サ高住の住宅棟の間の道はゆったりとカーブを描いて、遊歩道のようです。敷地内は一般車は進入禁止ですから、歩行者は安心して歩けます。もちろん送迎車は、自宅近くに止まってくれます。 60歳から入れるサ高住ですが、実は「その先」が問題です。自立期はいいとして、介護や看護が必要になった時、訪問介護や看護が受けられない地域やサ高住だと、要介護者用の高齢者施設や有料老人ホームに移らなくてはいけません。その点、那須まちづくり広場では、旧校舎内で開業している事業所が、訪問介護サービスと定期巡回サービス、デイサービス、看取りまでも担ってくれます。自宅で風呂に入るのが難しくなったら、週に2、3回のデイサービスで、檜風呂で入浴サービスが受けられます。要介護になったら、自宅にいながら訪問介護と定期巡回のサービスを受けることもできます。 いよいよ自立生活が厳しくなった場合は、要介護者向けのサ高住「ひろばの家・那須2」に移り住むこともできます。こちらはプールを改修した26室、要介護1以上の人向けのサービス付きの住宅です。賃料は月3.3万円。介護保険料を除けば、水道光熱費まで入れても、月に11万円強の利用料です。高い三角屋根の天井で、室内は明るく心地よい空間になっています。スタッフが常駐し、入浴や食事の介助サービスを受けられます。 さらに、短期滞在の利用が可能で終末期にも過ごせる施設「コミュニティ型シェアハウス みとりえ那須」が、隣地に開設しています。将来の看取りまで一気通貫で見てもらえる自立型の高齢者施設は珍しいと言えるでしょう。そのうえ、共同墓地まですでに町内で手配済み。散骨も選べるそうです。至れり尽くせり、これなら、「おひとりさま」でも死後まで安心ですね。
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