【BTSのJIN効果も】韓国の若い女性にテニスが爆発的人気の理由「カワイイ」「テニススクールはおしゃれなバーやカフェみたい」「ファッションも楽しめる」一方日本は……
『テニスの王子様』人気
その後、2000年代初頭の『テニスの王子様』人気や、2010年代の錦織圭・大坂なおみらの活躍もあったが、その時期の『ルネサンス』の客層はどうだったのか? 「『テニスの王子様』のときは、男の子を中心にジュニア選手が増えました。錦織選手のときも会員は増えたのですが、若い人というよりも、社会人になって一旦テニスを離れた男性たちが戻ってきた感じでした」(岡田利治 ルネサンス代表取締役社長) つまり競技人口が増えるタイミングはいくつかあったが、若い女性は少なかったという。 もはやテニスは人気がないのか? 実際世界的に見ればそんなことはない。 全豪・全仏・全英・全米、4大大会が行われる国々ではサッカーに匹敵するほどの人気。世界の競技人口は1億人を超えており、間違いなく人気スポーツなのだ。先日も37歳のジョコビッチがパリ五輪で金メダルを獲得、史上5人目となるゴールデンスラムを達成したことが話題になった。 では4大大会などもない、アジア人の文化やライフスタイルにテニスは合わないのだろうか? それがそんなことはない。 現在空前のテニスブームが訪れている国があるという。それがお隣の国、韓国だ。しかもハマる人の多くは若い女性。どうやら韓国では、テニスは「かわいい」スポーツとして人気を博しているようなのだ。
雑居ビルの中にテニスコート
日本にも韓国での人気に目をつけ、活動している人物がいる。元プロ選手でもあり、現在はテニスインフルエンサーの宇野真彩さんに話を聞いた。 「韓国のスポーツショップに行くと、こんなに可愛いウェアやアクセサリーがいっぱいあるんですよ!」 そう言うと身を乗り出し、宇野さんはスマホ内の写真を次々にスクロールした。映し出されるのは、パステルカラーのポロシャツや、ギンガムチェックのスコートなどをまとったマネキンたち。ショップのディスプレイもテニスコートがコンセプトで、韓国でのテニス人気の高さが一目で伺えた。 9歳の頃にテニスに出合い、18歳から国内ツアーを転戦するも20歳で引退した宇野さんは、「自分にしかできないテニスの普及活動」をすべく、2018年に『テニス女子サークル』を立ち上げた。「テニスをオシャレに楽しく」をコンセプトに活動している。 そのような活動に取り組むなかで耳にしたのが、「韓国でテニス人気が高まっている」との情報。そこで3年前に実際に韓国を訪れ、衝撃を受けたという。 「韓国では、雑居ビルの中にもテニススクールがありました。それも、カラフルなネオンや照明があって、おしゃれなバーやカフェみたいなんです。インストラクターたちも、男性も女性も美容師さんみたいにスタイリッシュ。 わたしが日本で見てきたテニススクールでは、女性は日焼けを気にしてロングスリーブにレギンスが多いし、夜は会社帰りの男性が中心。テニスコートに若い人が少ないのに、韓国のテニスコートには若くてオシャレな女の子たちがたくさん居るんです。『これは何でだろう!?』と驚いたし、日本でもこういう写真をインスタに投稿したら、そういうのが好きな子がいっぱい集まるんじゃないかなと思ったんです」(宇野真彩さん) その後も韓国に足を運ぶたび、宇野さんはテニス人気の高まりを感じてきたという。 「現地でテニスをしていく中で、どんどん人脈が広がっていったんです。その中には、元プロ選手や有名な俳優さんもいました。 新しく雑居ビルにスクールをオープンした人にも会ったのですが、オーナーは私と同じくらいの年齢の子なんです。テニスコートは半面で、ゴルフの打ちっぱなしのような感じ。基本はマンツーマンレッスンで、きれいなフォームで打てるようになりたい人たちが来るので、そんなに広いスペースは必要ないんです」(宇野真彩さん) この方式ならスクールのオープン資金も安く済むし、レッスンを受けるほうにしても、気軽に通うことができる。日焼けも人目も気にせずに、好きなファッションで伸び伸びとボールが打てるのも利点。そんな好循環が巡りに巡り、韓国ではテニスブームが生まれているようなのだ。