「インフルエンザ」異例の“2回目”ピーク、A型とB型の2種類が流行拡大
季節性インフルエンザが2023年12月にピークを迎えた後、今年に入って再び感染者が急増して2回目のピークに差し掛かっています。この内容について甲斐沼医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
インフルエンザの感染状況は?
編集部: 現在のインフルエンザの感染状況を教えてください。 甲斐沼先生: 厚生労働省が2024年2月26日時点で発表した内容によると、約5000箇所の定点医療機関で2024年2月12日~18日の1週間に報告されたインフルエンザの患者数は、10万1832人でした。去年の同じ時期には、6万2101人の患者が報告されていたので、約1.6倍の数値となっています。1医療機関あたりの患者数は20.64人で、4週間以内に大流行が起きる可能性を示す「注意報レベル」の基準である1医療機関あたりの患者数10人を超えている状態です。 異例とも言える1シーズン中で2回のピークができているのは、2023年末にかけて2種類のA型インフルエンザ「H1N1型」「H3N2型」が流行し、2024年1月以降にインフルエンザB型が拡大している背景があるためです。B型のインフルエンザウイルスはこの4年間流行がなかったため、免疫を持っていない子どもが多く感染している傾向があります。2月初旬の患者の約7割を、15歳未満が占めていました。
インフルエンザの感染状況への受け止めは?
編集部: 季節性インフルエンザの感染が異例の2回目のピークを迎えています。こうした感染状況への受け止めを教えてください。 甲斐沼先生: インフルエンザは例年、年末前後に流行入りしてピークの峰が1つできますが、今シーズンは2023年9月から流行が拡大し、2023年末に流行したA型に代わってB型の感染が広がり、2回感染する恐れがあります。従来のコロナ禍では、インフルエンザがほとんど流行せず、十分な免疫を持たない人が増加した中で、昨春以降に社会経済活動が活発化したことも影響して、インフルエンザが通常よりも3~4カ月早く感染が広がったのだと考えられます。季節性インフルエンザを感染予防するための対策を徹底的に講じて、万が一にも感染して発症した際には水分摂取を十分におこなうなど、適切な対応をとるようにしましょう。