元会社員の妻、個人事業主として念願の独立。ワクワク「開業届」を税務署へ提出も…あとから「後悔」したワケ【ライフキャリアコンサルタントが助言】
健康保険・年金をどうするか?
退職するタイミングで考えなければならなかったのが健康保険です。 任意継続という制度があり、退職後最長2年間は自分で掛け金を払うことで、いままで勤務していた会社の健康保険を使うことができます。在職中は掛け金の半分を会社が負担してくれていましたが、退職後は全額自分で支払うことになるので、それなりの金額です。 国民健康保険に加入するのがよいのか、夫の扶養に入るのがよいのか……。そこでまた考える必要が出てくるのが、失業給付金の存在です。給付にはさまざまな条件があり、年齢や退職理由などによっても給付される金額や期間が変わります。 夫の扶養に入るためには、失業給付金が向こう1年間で130万円を超えないことが条件。扶養に入れるかどうかの判断の仕方は、それぞれ加入する健康保険組合によっても変わります。失業給付金の金額はおおよその目安はわかりますが、最終的な金額がわかるのはハローワークに行ってからになります。そのような不透明な状況のなかで、いざ夫の扶養に入ろうと思ったら入れない、となることは避けたかった。 また、国民健康保険は掛け金の算出根拠がよく理解できなかったこと、病院にかかる以外のサービスが一切ないことから、私はいままで加入していた健康保険組合の任意継続を選択しました。 国民年金も同じこと。3号として夫の扶養に入れるのかどうかの判断は、失業給付とほぼ同じ。 このように、生きていくだけで必要な手続きがあり、払うお金もそれなりの金額であることに戸惑いながら、世の中の仕組みがわかっていくことはおもしろいものでした。
税務署へ開業届を提出も…
1年後、息子の受験が終わり、失業手当の給付も終了し、いよいよ個人事業主として独立。ワクワクしながら税務署へ開業届を提出し、いざビジネスをはじめましたが、ここで私は失敗をしてしまうのです。 個人がビジネスをする際、個人事業主として税務署へ届けるかどうかは自分で選択をできます。届け出をするメリットといえば、確定申告の際、青色申告ができることで控除額が上がること。金融機関に口座を開いたり、部屋を借りたりするときなど、信用が得られることなどが挙げられます。 一方、開業届を出すことで、夫の扶養に入ることはできなくなります。売り上げがなくとも自分で健康保険料や国民健康保険料を支払わなければならない。そのことに開業届を出したあとに気づいたのです(加入する健康保険組合によっても異なります)。 ライフキャリアカウンセラーとして独立開業したものの、最初の1年はなかなか売り上げが上がらず、毎月の掛け金は大きな負担になっていくなか、開業届を出さずに夫の扶養に入りながら少しずつビジネスを広げていく選択もあったわけです。 1~2年のあいだは金銭面で大きな負担にはなりました。ですが、扶養といった枠に囚われない働き方ができることは、扶養の枠を超えてしまわないかどうかという余計なことを考えず、仕事に集中できる。その結果、自分らしい仕事や、生き方の実現へとつながっていったのです。 このように、会社員ではなく、雇われない生き方を目指すのであれば、生きていくために必要な手続きは誰かが教えてくれるわけでも、やってくれるわけでもありません。自分から動くことを意識しましょう。 便利なのは行政機関。お役所は縦割りの組織でたらいまわしになることはありますが、どこが窓口になるのか親切に教えてくれることがほとんどです。わからないことや困ったときは尋ねてみることをオススメします。