二重国籍をめぐって蓮舫氏を批判する人たちに抱く“違和感”「日本で活動してきたのは周知の事実」
国政とは切り離せない都政
一方の蓮舫さんは、立憲民主党を離党する意向を示しています。知事など地方自治体の長は党派性を超えて、さまざまな人の代表として知事職につくわけですから、党を離党して無所属で出馬することはよくあります。 大阪府知事の吉村洋文さんのように、維新の会に所属したまま知事をしている人もいるので、必ず無所属でなければいけないということはありません。公約などはこれから叩き上げていくということですが、出馬表明の会見で明確に言っていたのは、「反自民」「非小池都政」というキーワードでした。 自民党の裏金問題は地方議員も含めた党全体の問題です。その自民党と連携している小池知事に今後の都政を任せられるか? という意味で“小池都政をリセット”すると表明しています。 これに対し、地方自治体に国政の状況を持ち込むべきではないとの批判もあります。だからこそ、立憲民主党を離党し、無所属で出馬するということではあると思いますが、地方自治体とはいえ東京都レベルの知事になったときに、国政と全く無関係ではいられないと思います。 一方、今国会では地方自治法の改正もあり、むしろ国のほうが地方自治を弱める方向で動いているのでは? という批判もあります。今、地方自治と国政の関係について議論するのは大事なタイミングだと思います。 小池都知事も、元国会議員です。前述したように自民党と喧嘩すると言って都知事選に出馬、当選。その後、自民党の二階元幹事長や萩生田自民党都連会長とは良好な関係を保ちながら東京五輪などの国家レベルのイベントでも存在感を発揮してきました。国政を持ち込むなという批判は、小池さん側からは持ち出せないとは思います。
区市村長が小池氏に出馬要請をする不気味さ
都内に62人いる区市村長のうち、52人の有志が参加して、連名で小池都知事に出馬要請をしたことも話題です。 これらの区市村長たちは、それぞれの自治体の長として選挙で選ばれています。各自治体の有権者は都知事選の有権者でもあるわけですから、代理人が勝手に出馬要請を行うことには違和感があります。民主社会における選挙は、主権者の代理人を選んでいるだけです。都知事に誰がふさわしいかは、有権者が判断すれば良いことです。 誰がこの出馬要請に加わったのかは記事に出ていますので、ぜひ見てもらって、誰が有権者を軽視しているか、誰が民主社会の構造を理解しているかを確認するのも良いと思います。 この出馬要請に関しては、新宿区の吉住健一区長が呼びかけて取りまとめていったということです。一方で世田谷区の保坂展人区長は「誰が政策を争うかも見えてない時に、名を連ねるわけにはいかない」と、有志に加わらない意思を表明しています。 有志に名を連ねた日野市の大坪冬彦市長は「当初は応援の依頼だった」と発言していることからも、知事からの要請があったのではないかという声も出ています。公明党、都民ファーストの会からの出馬要請も同日に行われ、メディアも入れた儀式的な場が作られていたので、知事側が用意周到に準備してたのでは、と考えてしまいます。 これと似たような風習としては、自民党元幹事長の二階俊博さんの三男・二階伸康さんの次期衆院選の新和歌山2区からの立候補をめぐり、和歌山県内の全21町村でつくる県町村会が出馬要請をするというニュースが先日もありました。なんだか自民党と似たようなことをやっているんだなとは感じました。これも選挙戦の際の参考になるといいかなと思います。