お茶の水女子大がトランスジェンダー学生受け入れへ(全文1)2020年度から
性同一性障害とトランスジェンダーの違いについて
次のスライドですけれども、性同一性障害とトランスジェンダーの違いについてご説明いたします。左側に書いてある性同一性障害、これはGender Identity Disorderの日本語訳なんですけれども、ずっと精神科の疾患名としての言葉です。この、疾患名なので明文化された診断基準が存在します。この方たちは体の治療、ホルモン療法とか手術に進む方が多いです。この概念は違和感、自分の体がつらい、嫌悪感があるというような違和感は普通に生きていればあります。ただ、性同一性障害という、障害という言葉が付いていまして、当事者の方たちがあまり快く思わないということもありまして、障害とはいえないとの考えから、名称の変更が進んでおりまして、主な診断基準は2つあるんですけれども、アメリカ精神医学会のほうでは障害という言葉ではなくて、性別違和、Gender dysphoriaという言葉に2013年に変わっております。世界保健機関の診断名のほうもGender incongruenceという言葉がつい先月最新版で発表されております。これはまだ発表されたばかりなので日本語の訳が決まってないんですけれども、性別不合という訳になりそうと聞いております。 それで右側のトランスジェンダーのほうですけれども、トランスジェンダーというのは疾患概念、病気の概念へのアンチテーゼとして生まれた言葉です。なので、医師から見て診断がどうかということではなくて、当事者運動から生まれた言葉になります。違和感とか苦痛というよりも、自分がどう感じているか、性自認のほうに力点がある言葉になります。で、疾患名はないので、明文化された定義というものがなくて、このため、性同一性障害よりは広い概念というふうにいえると思います。
トランスジェンダーに関する現状
次のスライドですけども、トランスジェンダーに関する現状を、国内の、主に公的機関の動きをまとめました。1998年に日本で初めて公に認められた性別適合手術、これが埼玉医科大学で行われました。公に認められたというのは、きちんとした手続きを踏むかどうか、倫理委員会へちゃんと通して行ったというのが、98年が初めてなので。2003年には性同一性障害者特例法という法律が成立しまして、戸籍の性別変更が可能になっております。 2010年になりますと、文部科学省が性同一性障害の児童、生徒へ対応を求める通知、正確には事務連絡だそうですけども、これを出しております。児童、生徒なんで、小学校、中学校、高校の段階になります。2012年には、自殺総合対策大綱というもので、性的マイノリティーが自殺のハイリスクグループであるということが言及されております。2014年には、文部科学省がその前年に調査を行いまして、小学校、中学校、高校の段階で、性同一性障害と見られる児童、生徒が606例あったということが2014年に発表されております。2015年には文部科学省がさらに詳しい通知を出しておりますし、第4次男女共同参画基本計画にて、性的指向や性同一性障害への対応が言及されております。2016年には文部科学省が詳細な教職員向けの対応を、手引きを公表しました。 2016年、2017年と、相次いでセクハラに関する動きもありまして、厚生労働省のセクハラ指針、それから人事院の通知において、性的指向や性自認に関する偏見はセクハラであるということが言及されておると。そして日本学術会議が、これも去年ですけれども、かなり詳細な提言を公表しておりまして、そのタイトルが「性的マイノリティの権利保障をめざして」というものです。これが次のスライドにありますけれども、去年の9月29日に、このような提言が公表されまして、この中に女子大学に関する言及もあります。この部分を抜き出してみるんですけども、「『文科省通知』にしたがって」、これは小学校、中学校、高校の段階ですね、「したがって性自認に即した学校生活を保障されているMTF」、トランス女性が、「女子校・女子大に進学できないとしたら、それは『学ぶ権利』の侵害になると言えよう」ということが明記されております。私のほうからトランスジェンダーに関する【******* 00:13:24】状況を引き継いでお話ししました。私からは以上です。