虐待、出所、「ヤクザに追われ…」 “帰る場所がない”若者たち 「ニーズがあるのは分かっていても…」支援団体が抱えるジレンマ
「ヤクザに追われていて…」支援制度の網から漏れた若者たち
また、入所定員をはじめ、さまざまな制度上の都合により公的支援を受けられない若者たちもいる。 そんな彼らを救う最後の砦が「民間シェルター」だ。民間シェルターは通常、「緊急一時的に避難」が必要な人を対象としている。チェンジングライフでは、児童福祉法上、一時保護の対象にならない18歳以上の若者でも避難できるシェルターを、寄付金や助成金などにより“ぎりぎりのところで”運営している。これまで約50人が利用してきたという。 「定員により自立援助ホームに入所できない子や、年齢や状況などを理由に公的制度を使えない子たちを、任意保護という形で受け入れています。最近だと、少年院退院から1年経っていて保護観察が終了している20歳の若者を入所させました。『ヤクザに追われていて行き場がない。帰れる家がないんです』と言っていましたね……」 さらに、チェンジングライフでは児童養護施設の出身者で、大学や専門学校に進学した子たちに向けた「夏休みの居場所支援」も行っているという。 「過去に、児童養護施設を退所して進学先の寮に入ったものの、夏休みなど大型休暇中は寮が閉まるため帰る家がないという子がいたんです。『どうしたらいいの』と相談を受けたことがきっかけで、学生向けの居場所支援も行うようになりました」 定員は2名と限られているが、家賃や光熱費は無料。赤い羽根福祉基金の助成金により昨年度から提供を始め、これまで2名の学生が利用した。「ニーズがあるのは分かっていても、当事者にアウトリーチするのが難しい」と野田さんは語る。 「せっかく頑張って進学した子たちだから、『長期休みで寮にいられない』と言うのなら、『うちにおいで』と助けてあげたい。ただ人的リソースの問題で、こちらからアプローチしていく余裕がないのも事実です。一緒に子どもたちに寄り添ってくれる人材が足りていません。それは若者支援を行う上での切実な課題です」