韓国人主将の苦悩…日本語堪能でも「僕は外国人」 大役受諾を決意させた指揮官の言葉【インタビュー】
今季キム・ミンテは湘南で主将を務める
湘南ベルマーレで今季キャプテンとしてチームを支えるのは、日本語を巧みに話す韓国人DFキム・ミンテだ。サッカーへの熱い思いを持ち、Jリーグ10年目を迎えた30歳が心がけている普段の行動とは……。日本で試行錯誤しながら挑戦を続け、湘南で輝くキム・ミンテの素顔に迫った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也) 【動画】韓国人Jリーガーの流暢な日本語インタビューのやりとりシーン ◇ ◇ ◇ ハードワークが売りの湘南。午前練習の終わりに取材に応じたキム・ミンテは「練習きつかったので、今ちょっと疲れていますね」と苦笑いで登場した。2023年夏に鹿島アントラーズから期限付き移籍で湘南へ。今年から完全移籍に切り替わり、同時に初のキャプテンに就任した。 山口智監督から任命された時は「僕は外国人なので、日本人選手よりアウトグラウンドでの影響力が少し小さいのではないか。そういう悩みはありました」と明かす。しかし「『ここはサッカーのために集まった集団。サッカーグラウンドの中で見せてくれればいい。すでにグラウンドの中でリーダーとしての役割を果たしてくれているから、それをそのまま続けてもらえればいい』と監督が言ってくれました。難しいとは思っていましたが、やってみよう。頑張ってみようと思い始めました」と、指揮官の言葉を受けて心境が変化した。 決意したキム・ミンテは、「(周囲に)安心感をなるべく与えるように」と普段からプレーで示す指標を意識する。「前の選手に対して『守備は俺らに(任せて)いいんだよ。俺に任せて点とってくれ』という感覚になれるようにしようとは心がけています」。毎日のプレーでは気を抜かず、「(自分が)駄目だとみんなが信頼してくれない。その部分では信頼を得られるように、日々しっかり自身のパフォーマンスを頑張っています」と、自身にできることにフォーカスをして取り組んでいる。 チームが最下位まで落ちる時期もあったが、「結果が出なかった期間もそうだし、周りの選手にかける言葉については厳しく言う時と励ます時と、まだまだ自分のなかでは難しいところがあります」とコミュニケーションの部分では苦労も感じつつ試行錯誤。「(鈴木)雄斗に相談したり、話し合ったりしました。2人でチームを引っ張っていこうと。いいところも悪いところもあったんですけど、色々トライ&エラーしながら少しずつ、自分なりに成長しているなと感じています」と、特に同い年の鈴木雄斗(副キャプテン)と意見を交換しながら戦ってきた。 その結果もあり、「今は自分たちがやりたいサッカーがしっかりできている」と自信をもって答える。直近ではリーグ戦3連勝(第32節~34節)を収め13位まで浮上。10月19日の第34節では、首位サンフレッチェ広島を2-1で撃破するなど終盤戦で上昇気流に乗っている。自身にも非常に惜しい“幻のゴール”もあった。少なからずキム・ミンテの苦悩は実を結んでいる。