ソフトバンクを苦しめるギータ不在。楽天の下克上王手を阻止できるのか?
パ・リーグのCSファイナルステージ、第2戦が19日、福岡のヤフオクドームで行われ、楽天がソフトバンクを2-1で下した。2戦連続で1点差負けしたパの覇者、ソフトバンクは、1勝のハンディを吐き出して1勝2敗とされた。過去、優勝チームがファイナルステージで連敗したのは初。この2戦で奪った得点は、すべてソロアーチ。タイムリーヒットはまだ1本もなく、3番の柳田悠岐(29)を故障で欠く打線の不振が、すべての元凶で、きょう20日の第3戦で敗れれば楽天に“下克上王手”を許すことになる。 あと1点が取れない。どこまでも響く“ギータ不在”。 その象徴的なシーンが1-1の同点迎えた6回にあった。この回、先頭の今宮がサード線を破る二塁打で出塁すると、工藤監督は、柳田に代わって2戦連続で3番に起用した中村晃にバントのサイン。だが、バットを手先だけでコントロールしようとしたため、打球はポーンと小さく上がり、嶋が捕球するには、おあつらえむきの小飛球となった。打率、310、31本、99打点の柳田がいれば、ありえない作戦だった。 まだチャンスは続いたが、ここで楽天の梨田監督が“神継投”。内川のソロアーチ1本だけに抑える好投を見せていた辛島から、CSの秘密兵器、宋家豪にスイッチ。150キロを軽く超えてくる剛速球の前に、内川が三振、デスパイネは四球で歩いたが、松田も三振。ただでさえ冷え切っている打線に、さらに冷水を浴びせかけられるような結果になった。 こういうイニングの終わり方をすると流れが変わるのが短期決戦である。不運な1点だけに抑えていた好投の千賀が7回、嶋にタイムリー二塁打を許して勝ち越しを許す。その1点が最後まで重くのしかかった。 工藤監督は、試合後、「チャンスで1本が出ないことは常にあります。やはり、つなぐ意識が大事だと思います。今は、今宮君と、内川君がすごくいい状態。そこにどうやってつないでいくかは、すごく大事になってきます」と、不振の打線を冷静に分析した。 得点圏には走者を4度進めた。だが、あと1本が出ない。茂木のファインプレーに潰されもした。 待たされるチームには「試合勘が鈍る」というハンディがつきまとう。 元巨人の足のスペシャリスト、鈴木尚広氏も、「私も経験があるが、試合間隔が空くと、レギュラーシーズンと同じ投手と対戦しているのにボールが速く見えるんです。その微妙な感覚のズレがバッティングを狂わせるのが、いわゆる試合勘の鈍りなんです」と、語っていたが、その「試合勘の鈍り」を、さらに、うまく利用したのが、嶋のリードである。