ソフトバンクを苦しめるギータ不在。楽天の下克上王手を阻止できるのか?
ソフトバンクの野球に詳しい評論家の池田親興さんは、こう評論する。 「辛島ー嶋のバッテリーはカーブを有効に緩急を大胆につけた。ただでさえ、まだ試合感覚をつかめていないソフトバンクの打線は、そこに翻弄されていた。いらぬ力が入って、堅くなっているソフトバンクの打者には大きな効果があった」 先発の辛島は、大きくスピードを落としたカーブを要所に使い、そこにストレートと、チェンジアップをミックスさせて、幻惑の緩急をつけた。二回も先頭の内川がヒットで出塁したが、デスパイネには、カーブを見せておき、最後はチェンジアップ、松田にもカーブでファウルを稼ぎ、最後はストレートをズバ。辛島対策に1番に川島を入れるなど打線をいじったが、完全に嶋のリードに手玉にとられたのである。 打てないのならば、守りきるしかないが、そこにも手痛いミスが。 先発の千賀は、その立ち上がりに、楽天のキーマン、茂木を三振にとってスタートを切ったが、2番の藤田を四球で歩かせ、続く銀次に打たれたライト前へのヒットで、まさかの展開。ライトの川島が、打球の判断を誤り、つっこみすぎて、弾んだ打球にグラブが届かずに後逸してしまったのだ。藤田が一気にホームイン。手痛いミスが絡んで先取点を与えてしまった。試合勘……の鈍さは、守備の乱れにも。攻守にわたって、ソフトバンクがソフトバンクでなくなってしまっている。 今日20日の第3戦の予告先発は和田と、CSのファーストステージで屈辱の大量失点をしている則本。3勝3敗と相性の悪くない相手だが、リベンジに燃える則本は、ソフトバンクにとって不気味だ。 前出の池田さんが言う。 「ギータ不在の穴を埋めきれていない。これまで見たことがないようなソフトバンクの野球を見せられている。ただ、高梨、福山、松井ら楽天の中継ぎ、抑えは、連投で疲れているし、松井の状態は決してよくない。ストレートで勝負ができずチェンジアップでごまかしている内容。楽天にも、つけこむ隙はある。ここまで2試合は、塩見、辛島と、いずれも技巧派の投手にうまく打たされたが、逆に、則本のような本格派のほうがタイミングが合うのかもしれない。打順は、1番、3番くらいしか動かしようのないのが苦しいが、とにかく明日が最大の山場でしょう」 工藤監督も、試合後の会見を「切り替えて明日、頑張りましょう。3倍の気力でね」と明るく締めた。下克上王手をかけられ終戦に近づくのは、まだ早い。