重症花粉症にも高い効果期待―抗体医薬の特徴と投与までの道筋
◇生活の質向上から行動変容を期待
オマリズマブは花粉症の根治が期待できる薬ではなく、毎シーズン、一定期間ごとの投与が必要だ。 「『花粉症はつらいけれど、治らないので仕方がない。2、3カ月我慢すればよい』と、多くの方が思っているかもしれませんが、そんなことはないのです。今までの薬ではつらさがなくならないと思ったら注射もあります。注射で生活の質や生産性が向上したら、次の年に向けて舌下免疫療法を始め、スギ花粉の悩みから解放されることを目指すといった行動変容を起こしてくれる患者さんがいたらよいと思っています」と、天野氏は期待する。 一方、重症花粉症の治療で天野氏が懸念しているのは、自由診療によるステロイド注射を選択する患者がいることだという。「花粉症に対してステロイドの効果は確かに高いのですが、一定量以上のステロイドは副作用が懸念されます。ステロイドは花粉によるアレルギーだけでなく免疫機能全体を抑え込んでしまいます。だから効果が高いのですが、もっと重要な免疫本来の『病気を防ぐ』というはたらきも低下させてしまいます。オマリズマブはピンポイントで作用します。同じ注射なら、きちんと承認されて保険もきく薬を選んだほうがよいと思います」
メディカルノート