「クルマの免許なんて要らねえや!」ホンダ・フリードの開発者が「免許ナシで入社」した意外な理由
● クロスターには、スノーボードやアウトドアで使いやすい仕掛けがしてある F:でも残念ながら、今のホンダにはバイクが積めるクルマがない。あ、N-VANがあるか。あれは助手席を床にしまえば載せられますね。 安:バイク用にN-VAN欲しいんですよ。元々あのクルマのパッケージは、研究段階からフルサイズの250ccのオフロードバイクが入るようにとやっていましたからね。二輪のアサケン……朝霞研究所のことですが、あそこに行ってCRF250Lを借りてきて、実際に積んでパッケージの開発をやっていました。それを横から見ていたので、N-VANは本当にいいな、と。 F:それじゃフリードの次は、バイクを積めるクルマの開発をやりたいですね。 安:そうですね。本当にやりたいです。ただ今回のフリードのクロスター。あれは私の趣味につながっているので、コンセプトの議論がとてもしやすかった。私はバイクだけでなくスノーボードが大好きで、スノボ歴が長く、アウトドア歴も長いんです。だから室内の使い勝手は「自分が使うなら」という視点で見ることができました。ナットが埋め込まれているからレールも組めますし、サイド部分は鉄板にしているので、マグネット式のフックが付けられる。ヘルメットとかグローブとかをそこに引っ掛けることができる。さすがにバイクを積むことはできませんが……。 F:ステップワゴンも実はバイクを積めちゃいますよね。2列目のシートを工夫すれば。 安:そうなんです。実は私、そうやって使っています。エンデューロの大会へバイクを運ぶ時だけ2列目シートのカバー等を外して、帰ったらすぐ戻す……。 F:それは、普通の人は簡単にマネできない工夫ですね(笑)。
● ステップワゴンやN-BOXは、フリードのライバル? F:ステップワゴンとフリードがカニバることはありませんか? 安:いや、それが結構あるんですよ。フリードを見に行って、見積もりを取って、ある程度価格が見えてくると。「もう少し頑張ればステップワゴンが買える」というお客様がいらっしゃる。逆に子育てが終わって、そこまでの大きさは要らないけれど、やっぱりミニバンの機能性とスライドドアの便利さは捨てられない、というお客様がステップワゴンからフリードに乗り換えたり。(ステップワゴンとフリードで、お客様が)“行って来い”という部分はありますね。 AD高橋:いまのステップワゴンはかなり大きいですからね。ノア・ヴォクよりも一回り大きい。 安:はい。だからステップワゴンを見に行って、サイズ感が納得できるお客様はステップワゴンに行くし、奥様がメインで乗るからあんまり大きくて取り回しにくいのはちょっとね、というお客様はフリードに来る……そんな感じです。 F:N-BOXと比較するお客さんはいますか? 安:ほとんどいないです。N-BOXは全高が高いので大きく見えますが、フリードと比べると2まわりも3まわりも小さい。シートも2列です。そもそも軽を選ぶ人は最初から絶対に軽。普通車を選ぶ人は最初から軽を視野に入れていません。フリードの大きさのクルマって、実はかなり特殊な市場なんですよ。特殊だけど安定的。 どのサイズを選ぶかというのは、比較するというよりもライフサイクルで決まります。就職したばかりの今は、通勤に軽自動車でいい。その方が結婚して子どもも生まれたからサイズを上げたい。子どもが成長して大きさが必要なくなったら、もう少しコンパクトで行こうと……と、こんな感じで。ご自身のライフサイクルの中でニーズが変化していって、それに合わせてクルマのサイズも変わる。そういうお客様が多いですね。 F:いいお話をたくさん伺いました。最後にひとこと“まとめ”をお願いします。バイクの話でも何でも結構です。