「クルマの免許なんて要らねえや!」ホンダ・フリードの開発者が「免許ナシで入社」した意外な理由
● クルマの免許を持っていないのにホンダに入社? F:じゃあ、もともとクルマがお好きでホンダに入社されたわけですか。 安:いえ。私は二輪です(キッパリ!)。元々バイクが大好きで、バイクがやりたくて。だから本当は二輪部門の配属が希望でした。入社が決まったら配属先の希望を出すのですが、私は第1希望から第5希望まで、全部二輪の部署を書いたんです。二輪設計、二輪研究、二輪のテストライダー……と、当時思いつくものは片端から全て書きました。でも全く通らなくて……。 F:なんと!第5希望まで全て二輪を。それなのに自動車部門の配属になってしまった。 安:はい。だから入社当時は二輪の免許だけで、クルマの免許は持っていませんでした。自分はもう二輪しかやるつもりがなかったし、当然二輪に行けるものだと思い込んでいたので、別にクルマの免許なんて要らねぇや、と(苦笑)。 F:あはははははは(笑)。いいですね~、最高にいいお話です。 フリードの開発責任者は、もともと二輪配属希望で、入社当時は自動車の免許すら持っていなかった。日本カー・オブ・ザ・イヤーまで取った日本最高のクルマの開発責任者が、である。何ともホンダらしいエピソードではないか。 ホンダ広報:あの、二輪はいいのでもう少しフリードのお話を……。e:HEVとか本当に良いんですよ。開発にはそれはもう大変な苦労がありましてね。そっちの話を掘り下げていただけると我々としては……。 F:はい分かりました。e:HEVですね。で、安積さんはどんなバイクに乗っておられたのですか。もちろんホンダのバイクですよね? ホンダ広報:……いや、だから……。
● バイクの話になると止まらない 安:いろいろ乗りましたねぇ。今までに41台所有してきましたから。 F:41台!バイクを41台も! 安:もちろんホンダが多かったですが、途中でドゥカティとかハーレーとか。BMWのGS、GSアドベンチャー……GSだけでも3台乗りましたね。 F:あれは最近1300ccとエンジンが大きくなって、それなのに軽くなって、とても評判が良いですね。試乗しなくちゃな。 安:私はHP2エンデューロにも乗っていました。 F:幻の名車、HP2エンデューロ!今持っていたら一財産ですよ。状態が良いのはものすごく高い。 ホンダ広報:フリードの話を……。 安:そうですよ。もう売っちゃいましたけど、いま売ったらフル装備のフリードくらい楽勝で買えちゃいますよ。それを2台持っていました。 ホンダ広報:そういう話じゃなくてですね……。 安:当時でも結構な値段がしましたからね。カミさんにバレたらエライことになるから、黙って買って(笑)。 F:人にもらったとか、懸賞に当たったとか言って(笑)。 安:そうそうそうそう。よくご存じで(笑)。 バイクの話になると、ご担当のフリード以上に熱く語る安積さん。それもそのはず、安積さんはエンデューロのレース、JNCC WEXイーストに参戦していて、インタビュー時点でクラス1位。総合でも10位に入る超実力者。「バイクが好きです」レベルの話ではないのだ。