【陸上】七種競技・熱田心が自己新で初戴冠!「これからもチャレンジャーとして」高校時代には癌を克服/日本選手権混成
◇第108回日本選手権・混成競技(6月22、23日/岐阜メモリアルセンター長良川競技場)2日目 第108回日本選手権混成の大会結果をチェック! パリ五輪代表選考会を兼ねた日本選手権・混成競技が行われ、女子七種競技は熱田心(岡山陸協)が5750点の自己新、日本歴代5位の好記録で初優勝を果たした。 初日をトップで折り返していた熱田。2日目最初は6mオーバーの自己記録を持つ得意の走幅跳だった。だが、そこで5m87(-0.4)にとどまり、「うまく出し切れなかった」。 それでも、続くやり投は「改善したかったところ」と44m73をスローしてトップを死守して800mを迎えた。2位のヘンプヒル恵(アトレ)とは9秒差で逆転可能というところ。苦手としている種目だったが、「絶対に突っ込もうと思った」と、約7秒も自己記録を更新する2分18秒52で「私らしくない800m」と照れ笑い。4月の東京混成で800mで逆転負けした雪辱を果たした。 これが悲願の日本一。高校時代には苦しい時間を過ごした。岡山・倉敷中央高1年の夏前に卵巣癌が見つかり緊急入院して手術。「私、死ぬのかな」。グラウンドはおろか、日常生活をシャットアウトする状況で3ヵ月の入院生活を過ごした。 ただ、退院翌日には自転車で40分かけて登校。部活動にも復帰して、試合にも出場した。「メディシンボールを3回投げたらクラクラした」ほど体力が低下していたが、「外に出られるのがうれしかった」。これを悲壮感なく話せる気持ちの強さが熱田にはある。 大学は雰囲気が合わずに退学して岡山へ帰った。その際は「絶対に陸上をやらないつもりだった」というが、家族や身近な人の声かけで「限界までやってみたら」と背中を押された。 日本一になり、名だたる先輩たちがいる歴代ランキングに名前が入った。それでも、「5700点台で優勝は低い」。追いかけてきたからこそ、山﨑有紀(スズキ)、ヘンプヒル恵(アトレ)、大玉華鈴(日体大SMG横浜)の3強の強さを身をもって知る。その3人が不調だったこともあり、「3人の背中を追い続けたい。5800、5900点を出して、いつか6000点を出せるように暴れたい」と目を輝かせた。
月陸編集部