27週678gで生まれた長男 両手に収まるくらいの体、細い手足…「母乳バンクに救われた」両親の願い
胎動が感じられず緊急帝王切開
「胎動が感じられない」。入院から1カ月ほど経ったある日、女性はおなかの〝異変〟に気が付きました。赤ちゃんが弱っていたため緊急帝王切開に。異変から約2時間後、長男は産声を上げて誕生しました。 女性が体重678gの長男と対面できたのは保育器越しに30秒ほど。「毎日エコー写真を見ていたので、大きさは想像していた通りでした」 夫も、生まれた日の夜に長男と面会しました。「とても小さくて色は赤黒い。本当に人間なんだろうかと思うくらい細くて小さい手足でした」と振り返ります。 頭の大きさはテニスボールほどで、体は両手に収まるくらいの大きさでした。 産後、夫妻は改めて医師からドナーミルクについて説明を受けました。女性は「この仕組みがあれば、万が一母乳が出なかったり、足りなかったりしたときでも大丈夫なんだと救われた気持ちになりました」と話します。 女性は初乳こそ長男に与えられましたが、飲む量が増えてくると女性の母乳だけでは足りなくなり、生後1週間頃からドナーミルクを使うことにしたといいます。 長男は約6カ月、女性の母乳とドナーミルクに支えられ、生後9カ月で退院したそうです。
元気に保育園に通っている
長男はNICUに入院中、おなかの手術も経験しましたが、まもなく1歳6カ月になり、大きな病気をすることなく元気に保育園に通っています。身長は約75cm、体重は8kgを超えました。 「1年前は手術を控えていた時期。点滴は外れるようになるのか、口から食事をとれるようになるのか、保育園に通えるようになるのか見通しも立ちませんでした。でも今は、離乳食も食べて歯も生えてきて、成長を見せてくれています」と女性は表情を和らげます。 「ドナーミルクのおかげで息子は元気に成長できました。ドナーのみなさんにも感謝しています。母乳バンクの存在を多くの人に知っていただきたいです」 夫は「母乳バンクの存在は心の支えになると思います。今は限られた病院でしか使われていませんが、どんどん広がっていってほしいです」と話しています。