27週678gで生まれた長男 両手に収まるくらいの体、細い手足…「母乳バンクに救われた」両親の願い
なんらかの事情でお母さんの母乳が得られない、小さく生まれた赤ちゃんのために、寄付された母乳(ドナーミルク)を提供する「母乳バンク」。2年前、予定日より約3カ月早く678gの長男を出産した女性は、生後1週間が経った頃からドナーミルクを使用しました。「母乳バンクの存在を多くの人に知ってもらいたい」と話します。(withnews編集部・河原夏季) 【画像】27週678gで誕生 すくすく育つ長男
3カ月早く678gで生まれた息子
神奈川県に住むウェブデザイナーの女性(42)は2022年、妊娠27週3日で身長約30cm、体重678gの長男を出産しました。 多くの赤ちゃんは妊娠37~41週(正期産)で生まれ、平均出生体重は約3000g。妊娠22~36週は早産となり、2500g未満で生まれる赤ちゃんは「低出生体重児」と呼ばれます。より早く小さく生まれるほど、命の危険や障害、病気のリスクが高くなります。 女性は妊娠22週のとき、血圧が150まで上がって入院することに。医師からは早産で小さく生まれる可能性を告げられ、ドナーミルクについても説明がありました。女性と会社員の夫(41)はそのとき初めてドナーミルクの存在を知ったといいます。 ドナーミルクとは、母乳バンクに寄付された母乳のこと。NICU(新生児集中治療室)のある施設で使われており、担当医が医学的に赤ちゃんにドナーミルクが必要だと判断した場合にのみ使用されます。 母乳バンクは、病院からの要請を受けて厳格に低温殺菌処理されたドナーミルクを提供しています。 ドナーミルクを使うのは、早産などで1500g未満の小さな体で生まれた「極低出生体重児」が中心です。1500g未満で生まれた赤ちゃんは腸など様々な器官が未熟で、病気や感染症のリスクが高いとされています。 十分な体重で丈夫に生まれた赤ちゃんは、牛乳由来の粉ミルクや液体ミルクを問題なく消化吸収できますが、小さく生まれた赤ちゃんは成分をうまく消化できず、負担になってしまいます。 母乳を与えた場合、人工乳と比べて、腸の一部が壊死(えし)する「壊死性腸炎」にかかるリスクを3分の1に減らす効果があるそうです。