トランプ氏勝利 市場はトランプトレード進行 ダウ平均株価は史上最高値を更新/FRB 2会合連続で利下げ パウエル議長と関係悪化トランプ氏の「介入」懸念 舵取りに注目【Bizスクエア】
――インフレが、人の心を大きく左右したのか。 慶應義塾大学 総合政策学部教授 白井さゆり氏: 2022年から食料価格が20%ぐらい上がった。 慶應義塾大学 総合政策学部教授 白井さゆり氏: 家賃も相当上がっていて、住宅価格は30%ぐらい。明らかに生活が苦しくなっていて、低所得・中所得者の人がトランプ氏の方に支持を高めた。それから「法人税率を下げて欲しい」という企業の人たちも多いので、そこの支持があった。それから減税によって自社株買いが進み、株価が上がっていくのでウォール・ストリートの支持があったので、全体的にトランプ氏の勝利に繋がったと思う。 ――「トランプ・トレード」がたくさんあったということか。インフレは世界的に見ても、現在のバイデン政権にはアゲインストになるのか。 慶應義塾大学 総合政策学部教授 白井さゆり氏: 直接的な原因は現政権の責任ではないが、人々はその時の政権のせいにする。前回のトランプ氏の時は低インフレでいかに2%の物価を引き上げるかということで悩んでいて、量的緩和もしてきたが、今は逆だ。 ――次は、具体的に出口調査からわかることを杉田氏に分析してもらう。まず男女の比率でいうと、女性が思ったほどハリス氏に流れていない。 共同通信 客員論説委員 杉田弘毅氏: ハリス氏の敗北の極めて象徴的な例。ハリス氏は中絶問題を主要な政策として戦ってきたが、それに対して女性があまり反応していない。やはり経済問題がより重要で、移民がより身近な問題だった。国民がそれらを意識していたのに、ハリス氏が抽象的な価値観でそういう問題についてはあまり響かなかった。 ――次に、人種別の支持率・得票率を見ていく。言われている通り白人はトランプ氏が強く、黒人・ヒスパニックはハリス氏が強いが、これはどう評価すべきか。ヒスパニックは思ったほど取れなかったと見るべきか。 共同通信 客員論説委員 杉田弘毅氏: もちろんそうだ。ヒスパニックはいつも6割から7割は民主党候補が取ってきたので、それに比べると大きく減った。ヒスパニックというと黒人と同じような考え方、同じような境遇の人々、つまり少数派と考えて「民主党(支持)だろう」と思ってしまうが、実はヒスパニックの人はもう多様化していて、トランプ氏が唱えるような保守主義の考え方に惹きつけられてる人もたくさんいる。ヒスパニックを少数派だと捉えてしまうと多様性を重視するという政策がアピールするはずだが、実はそうではなくなっていることが、アメリカ政治にとても大きな地殻変動が起きつつあるということだと思う。