考察『光る君へ』21話 中宮(高畑充希)のいる世界の美しさを謳いあげた『枕草子』は清少納言(ファーストサマーウイカ)の「光る君へ」
異国からの脅威
為時(岸谷五朗)が道長から重要任務を告げられた。 若狭に流れ着いた70人の宋人は、越前に新たな貿易港を作るよう求めてきた。しかし、現在朝廷は大陸との交易は九州・博多に限定している。越前は京都と近く、貿易港として開いたのち戦を仕掛けられたら、首都まで一気に攻め込まれる危険性がある。 「彼らは商人などと偽り、まことは官人。いや、いくさびとであるやもしれぬ」 為時の役目は、彼らを説得し国に帰すこと。出世を喜んでいたが、しくじったら国の危機を招きかねない大役ではないか。 20話でも外国の人間の扱いを間違えたら国際問題になる、争いになるかもという台詞があった。今回の70人の宋人の狙いはまだわからないが、異国からの脅威かもしれない。道長の危惧は、彼が世を治めている間に現実のものとなるのだ。
いととのお別れ
いと「(まひろ様に)叱られるとき、宣孝様はいつも楽しそうに見えますが」 第2話の頃から、宣孝はまひろと話す時にちょっと持ち上げたり叱られるのを楽しんだり、オジサンが若い女をあやすような、いかにもな手管が気になっていた。佐々木蔵之介にしか許されんぞ、周囲から見ると割と顰蹙モノだぞ、いと(信川清順)はよく指摘したぞと言っておこう。 そのいとは、文章生に合格した惟規(のぶのり/高杉真宙)のために都に残るという。しばらくのお別れらしいが、元気でいてほしい。
まひろと道長、別れのひととき
前回の予告を見て、えっここからまだ、まひろと道長が抱き合う展開があるんですか? と思っていたら、越前に旅立つ前の別れのひとときだった。 10年ぶりでも、お互いを深く理解している。嘘をつけばすぐわかるし、恋文で見覚えた字はけして忘れない。 気が向いたら会える現代とは違う。スマホも、写真もない。これが永遠の別れとなるかもしれない。交わした文を取っておく以外に相手を胸の中に留めるには、抱き合い、その温もりを体と心に刻みつけるのみだ。 抱きしめた腕の中で「後悔しながら生きてきた」と言われたら、放したくなくなってしまう。 でもまひろは「越前で生まれ変わりたい」と笑顔で告げ、別れの口づけをするんだね? そうすることで、この国の最高権力者の心に、深く爪痕を残してゆくんだね? えっ。すごくない?