食通の著名人にもファンが多い家政婦・タサン志麻さんが、阿川佐和子さんと意気投合! 夏のおすすめレシピも紹介します。
フランス料理をこよなく愛し、家政婦として大人気のタサン志麻さんは、静かな里山にたたずむ古民家に引っ越し、自然豊かな環境の中、自分たちの手で少しずつ家をリノベーションしながら暮らしています。最近は畑を耕し、野菜作りにも挑戦しているそう。 「近所の農家の方たちにいろいろ教えていただきながら畑をはじめました。今の季節はいちごやコルニッション(小きゅうり)、それからフランスではサラダや付け合わせによく使われるマーシュという葉野菜も。近くのスーパーではなかなか見つけられないのですが、作ってみたらあっという間に増えてたくさん収穫できました。採れたての新鮮な野菜は本当においしいです。野菜作りは子どもたちにとってもよい経験になっていますね。息子は大根を植えて育てて、漬物を作りたいって言っています(笑)」
都会を離れ、自然に囲まれた場所に移り住んだことで、四季をよりダイレクトに感じるようになったと話す志麻さん。今回は食のエッセイ本も多数執筆する阿川佐和子さんと、旬の食材をつかったレシピ本『菜箸でフレンチ 春夏秋冬のごちそうレシピ』で初コラボを組みました。 「私にとって阿川さんは食べることが好きで、料理にも詳しくて、世界中の食べ物をいろんな視点で見てきた方というイメージでした。阿川さんの料理のお話はとってもおいしそうで、食にまつわる思い出や料理のエピソードなどをお聞きすることができてとっても刺激的でした」 季節ごとに志麻さんが阿川さんのリクエストに応えて、おすすめの料理を作り、ともにおいしい時間を過ごしました。そのなかで、志麻さんは阿川さんに共感することが多かったそう。 「阿川さんは本当に料理を楽しんでいらっしゃるなと思いました。思い通りの仕上がりにならなくても、それをどうやったらおいしくリカバリーできるか、冷蔵庫に残っている食材をどうやったらおいしく食べられるかを日々考えていると、楽しそうにお話しされていたのが印象的でした。早くできた、おいしくできた、きれいにできた、ばかりが料理の楽しみじゃなく、スーパーに並ぶ旬の食材を選んだり、何を作るかを考えたり…。料理を作る過程、そして料理を食べる時間、ぜんぶ含めて楽しめることが幸せなんじゃないかなと。そういうことに共感しました。今回の本ではレシピだけじゃなくて、料理にまつわるいろいろなお話ができたことがよかったなって思います」 料理を作る楽しみ、食べる楽しみは、人生を楽しむことにつながるという志麻さん。 阿川さんがレシピをどんどん自分流にアレンジしてしまうというエピソードにも大きく頷いていました。「私のレシピもそうやって使っていただくのが理想です」と。 最後に、これから暑い夏に向けて、志麻さんのおすすめレシピはなんですかとたずねると、今回の本をめくりながら「ガスパチョ」と答えてくれました。 「スペインの家庭料理のガスパチョをぜひ試していただけたら。野菜たっぷりの冷製スープで基本はトマト、きゅうり、玉ねぎですが、キウイなどのフレッシュなフルーツを入れてもおいしいです。冷しゃぶやそうめんと一緒に合わせてソースとして使ったり、水でさっと洗ったご飯を入れてスープごはんのように食べるのもいいですね。あまり食欲がないときや、暑い夏にはさっぱりとした食感でおすすめですよ」